米カンザス州ウィチタ市は、2017年に発生したスワッティングに端を発する射殺事件について、警察官Justin Rappが被害者Andrew Finchさんの遺族と500万ドルで和解に至ったと明かしました。
スワッティングとは
スワッティングとは、緊急通報用電話番号を利用して行われる虚偽の通報のこと。主に、ゲーム配信者などに対する嫌がらせといった目的で行われていますが、これにより「重大な事件が発生している」という通報を受けた警察が実際に出動してしまい、問題となっています。
当時の事件について
そんなスワッティングにより、取り返しのつかない被害が発生したのがウィチタ市の事件。当時、『Call of Duty』のオンライン対戦でトラブルになった2人のプレイヤーのうち1人が、さらに別の人物にスワッティングを依頼したことが始まりです。
アメリカ合衆国司法省によれば、依頼したプレイヤーはかつての住まいを「現住所」と偽り、依頼を受けた人物もそれをもとに「父親を射殺し、母と弟をクローゼットに閉じ込め、自分は家に火をつけて自殺を考えている」と虚偽の通報を行ったとのこと。その結果、たまたま「現住所」に住んでいた全く無関係なFinchさんの家が警察に包囲され、本人も射殺されるという最悪の事態になってしまいました。
この事件のあと、Finchさんの遺族はウィチタ市に対して訴訟を起こし、控訴を行った市との闘争は5年にもつれこみましたが最終的には和解するに至りました。またこの事件がきっかけで、カンザス州はFinchさんの名を冠する「反スワッティング法案」を可決。死亡または重傷に至るような通報を行った者に対して、10年から41年の実刑を義務付けました。