■値上げとPS5 Proの価格から伺える、SIEの新たな姿勢
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しかし、日本市場が優遇されていた傾向は、2024年9月2日の改定で一気に風向きが変わります。ディスクドライブ搭載版は79,980円、デジタル・エディションは72,980円と、それぞれ価格が1万3,000円も上がりました。
そして、9月11日に発表されたPS5 Proの価格は、11万9,980円と大台を突破。他国と変わらない価格帯になり、北米とは約1万円もの差がつく結果を迎えました。
北米との価格差の理由は明言されていませんが、ユーザー側から推測することはできます。まず最初に連想するのは、長く続く円安の影響でしょう。
これまでも円安が続いていましたが、SIEは日本版PS5の価格をそれほど上げず、極力抑える姿勢を見せていました。ですが、それも限界に達し、直近の値上げに繋がったのだと思われます。PS5 Proも、今後さらに円安が進む可能性を危ぶみ、北米版よりも高い価格に設定したと考えられます。
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また、今回の動きを見るに、SIEが北米重視の戦略に切り替えたという可能性も浮かび上がります。コンピューターゲームの市場は全般的に北米が強いため、以前からSIEは北米を重んずる傾向にありました。
そして今月実施された値上げやPS5 Pro発表を機に、日本向けの優遇措置を改め、北米への注力をいっそう強化する体勢に踏み切った──と見ることができます。少なくとも、それを予感させるだけのPS5 Proの価格差が、北米と日本の間に横たわっています。
前述の通り、日本版PS5 Proの価格帯は、北米以外の地域とほぼ同額です。その視点で見ると、「本来の価格に戻っただけ」とも言えますが、これまで優遇されていたのは紛れもない事実。そうした状況を踏まえると、今後の日本市場は、優遇からの「揺り戻し」を迎えるのは間違いないでしょう。
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国内ユーザーの反応を見ても、先日の値上げやPS5 Proの価格について不満を述べる声が多く、北米との価格差を指摘する意見も複数出ています。
PS5本体の価格について、日本市場は円安でも長く優遇されていました。しかし、その時間も終わりを告げ、これから厳しい時代が訪れるのかもしれません。「揺り戻し」がどれだけの影響を及ぼし、いつまで続くのか。これから登場し、活躍するであろうPS5 Proの存在が、「揺り返し」を測るひとつの目安となりそうです。