その1つが巨大なイカ型ロボット「IKABO」(はこだて未来大学)です。身長2.2メートル、体重は約220キロで、腕に9対、頭に3個、目に2個の間接動作ユニットを持ち、エアシリンダで動作します。
当初はPCのタッチパッドで操作していましたが、より自然な操作を可能にするため、Wiiリモコンでの操作に対応しました。両手にWiiリモコンとヌンチャクを持ち、操作者が腕を動かすと、その通りにIKABOも腕を振るというものです。筆者も体験してみましたが、何も考えなくても、腕の動きにあわせてIKABOの腕が動くので、自然に操作できました。
このほかWiiリモコンの+ボタンを押すと左目、−ボタンを押すと右目が閉じ、Homeボタンを押すと頭部が光ります。ヌンチャクのスティックを傾けると耳が前後左右に動き、傾けると右足が対応して動くギミックも用意されています。
2つめは食べ物の臭いでモンスターを撃退する異色のシューティングゲーム「Back to the mouse」(金沢工大学園 小坂研究室)です。吹き矢型デバイスに息を吹き込み、画面上のモンスターにニオイの玉を放ち、吸い込むことで矢を引き戻すという内容です。モンスターにはそれぞれ苦手な臭いがあり、プレイ中に適切に飲食して、口臭を変化させる必要があるというのがユニークです。
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吹き矢デバイスの先端にWiiリモコンを装着 | 食べ物のトレイと吹き矢 |
本作品では吹き矢の先端にWiiリモコンが搭載されており、画面上のポインティングに利用されています。システム全体はマイクロソフトのXNAで作られており、メニュー操作などはXbox360コントローラが使われています。同じシステムでWiiとXbox360のコントローラが併存しているという、学術系ならではの作品です。
本作品は昨年度の国際学生対抗バーチャルリアリティコンテスト(IVRC)で入選も果たしました。その後、世界最大のCGの祭典、米シーグラフなどにも出展し、このたび凱旋展示をはたしました。シーグラフ版では吹くだけでなく吸うアクションも加わり、ConTEX版では食べ物のトレイが電飾で光り、エアアクチュエーターで上下に動くなど、ディスプレイ効果が高まっています。
なお余談ですが、このエアアクチュエーターをお腹に当てたところ、胎児の胎動にそっくりだったことが、本年度のIVRCで総合優勝に輝いた「Mommy Tummy」が作られるきっかけとなりました。
このようにWiiリモコンをPCで利用する試みは世界中で行われており、ツールやAPIもオープンソースで数多く公開されています。会場では24日、「WiiRemoteプログラミング」(オーム社)の著者らによって、ワークショップ「Wiiリモコンで、パパと一緒にゲームを作ろう!」も開催されました。今後も自由な発想で作られた、さまざまな作品の登場が期待されます。
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本年度のIVRCでもWiiリモコンを用いた作品が2作出展 |