2011年10月、SOPA は初めて米国下院に提案されました。それ以降、姉妹法である知的財産保護法案 (Protect IP Act, PIPA) とともに多くの論争を招くこととなります。この話題はいたるところでトップニュースになり、つい最近ではオバマ大統領が法案の不支持を表明し、さらに、大々的な抗議キャンペーンとして Wikipedia や Mozilla などの米国団体や企業のサイトの一時停止などが目立っています。
すべての問題の背後にある主な原因は、法案がDNSの禁令によって侵害に対処していることであり、著作権侵害コンテンツをIPアドレスで禁止しないことです。きっと、議員や作成者が技術的知識に欠けていることが大きな原因なのでしょう。それでも、法案の目的はオンラインの悪徳サイトを根絶させることであり、何年も海賊行為に苦しむ音楽や映画業界の主要団体であるアメリカレコード協会 (Recording Industry Association of America, RIAA) やアメリカ映画協会 (Motion Picture Association of America, MPAA) は、この法案に支持を表明しています。
ゲーム産業においては、SOPA に対するすべての企業の姿勢が定まっているわけではありません。米国にあるゲーム開発業者(カプコン、バンダイナムコ、スクウェア・エニックスやソニーも所属)の業界団体であるESAは公然と論争の法案への支援を求めているが、任天堂やソニーは(Electronic Arts と Microsoft といった米国企業に加え)反対することを公式に表明しました。 そして未だにどちらともいえない態度や声明を発表しないでいる企業もあります。
ゲーマーの利益のためだけでなく、ゲーム会社が法案の支持、不支持を慎重に検討する必要があります。ゲーム市場のマーケティング活動においてインターネットは重要な役割を果たしており、コミュニティやソーシャルネットワークでの口コミは多くの企業にとって鍵となっています。特にソーシャルゲームやWorld of Warcraft のような MMO にとって口コミは必要不可欠なものであり、そのため欧米のソーシャルゲームの発行元である Zynga は当初より SOPA 担当議員に対して公開書簡を書いています。
さらに、Machinima やRed vs. Blue(Halo ゲームをもとにした動画シリーズ)などのゲームツールを通じて考案された動画も、当然SOPAの下では存続できなくなります。二次派生的なコンテンツの創出がなくなれば、開発者たちは自分たちのタイトルへの反響を確かめる有効な資源をも失い、新しいアイデアの種は摘まれていってしまいます。つまり、ユーザーの自由にマイナスの影響を与えるものは、ついにはゲームメーカーを危険にさらすことになりかねません。この法案がコンテンツディベロッパーやパブリッシャーによって熟考されたものであるとは、到底考えられません。