はじめにコーポレート・バイスプレジデント兼プロダクトCTOのジョー・マクリ氏から、製品についての技術的な説明が行われました。今回の「Ryzen Mobile」は、次世代のマイクロアーキテクチャ「ZEN」と、同社の最新ハイエンドGPU「VEGA」の技術を組み合わせて開発されています。AMDは、CPUではIntel、GPUではNVIDIAといった手強い競合他社を持ちますが、「AMDだけがCPUとGPUの両方を開発しており、シングルチップに搭載可能である」という独自性を持ちます。

AMDのRyzenプロセッサーのパフォーマンスをカスタマイズする「SeiseMI」テクノロジーにも改良が加えられています。プロッセッサーのパフォーマンスをリアルタイムで微調整する「Precision Boost」は、「Precision Boost2」となり、並行するタスクが増えた時にもブーストの持続がより続くように。また周波数の拡張でパフォーマンスを向上させる「XFR」は「Mobile XFR」となることで、前述の「Precision Boost2」の上から更にブーストが可能に。空冷や水冷などの冷却状況に合わせた最高の周波数を発揮します。
新機能も多数搭載されており、その1つである「Synergistic Power Rail Sharing」によって単一電源でCPUとGPUを動かすことが可能に。さらに、それぞれのCPUコアとGPUにおいて、電圧を「Low Dropout Regulators」で自動制御します。これにより、トータルの電流を36%削減したとのことで、ラップトップPCにおいては大きな改善といえるでしょう。
続いて、幾つかのベンチマークテストによる、同社の過去の製品や競合他社の製品との比較が紹介されました。




ゲームのfpsに関しては、「ゲームにおいて優れたユーザー体験を実現したい、非常にスピーディに、30fpsを必ず達成したいと思っていた」「具体的に何%の改善をしよう、という数字は重要ではなく、ユーザーが実感できなければならない」と述べていました。実際紹介された5つのゲームでは平均fpsがどのゲームも40以上と高い数値を示しています。

バッテリー寿命についてもこれまでは競合他社に劣っていましたが、ここに来て大幅に改善。前世代に比べて2倍もの数値が出ています。

こちらがまとめのスライドです。「スパイダーチャート」と呼ばれるこちらのチャートでは、5つの要素でRyzen7が競合他社を上回っています。また、I/Oパフォーマンスに関しては、ユーザーエクスペリエンスにそれほど大きな影響を与えるものではないとのこと。「競合他社も素晴らしいエンジニアを抱えており、その能力には尊敬の意を評したい。そしてそんな優れた競合他社を持っていることを光栄に思っています。私たちは、そんな競合他社に勝負を挑むだけでなく、今や勝利するチャンスを得ているのです。しかし、勝ち負けを決めるのは私達ではなく、皆さんなのです」と述べていました。

次に、クライアント・コンピューティング・ビジネスユニット プロダクト・マネージメント・ディレクターのデイビッド・マカフィー氏から製品に関して説明が行われました。これまでAMDではRyzen7のデスクトップやRyzen Threadripperを通じてユーザーに高い価値やパフォーマンスを提供してきました。デスクトップと同じようなイノベーション、パフォーマンス、ケイパビリティをモバイルの世界でも提供していきたいと述べています。その後、今年の第4四半期に発売される予定の、「Ryzen Mobile」が搭載されたラップトップPCの一部が紹介されました。



これら「Ryzen Mobile」製品の発売によって、ノートPCにおけるゲーミングに、新たな選択肢が生まれるでしょう。現状ゲーミングPCはデスクトップが主流で、ハードルの高いイメージを持つ方も多いかと思われます。高性能ゲーミングノートブックの普及によってより手軽に手を出せるようになることで、PCゲーム業界がより盛り上がっていくのではないでしょうか。
今後も2018年にかけて、「Ryzen Mobile3」や「Ryzen Mobile PRO」が登場予定となっています。来年もAMDから目が離せない1年となりそうです。