
10月30日、グリー株式会社は中国最大級の動画共有サイト「ビリビリ動画」を運営するbilibili Inc.との包括的な業務提携を発表しました。スマートフォン向けゲーム事業とバーチャルYouTuber(VTuber)事業で、日本、中国の両市場でさらなるファン層の拡大を目指します。
2018年度は、日本市場の倍以上となる2.5兆円規模に達すると見込まれている中国モバイルゲーム市場。グリー代表取締役会長兼社長の田中良和氏はbilibiliに関して「日中の二次元市場における最重要パートナー」と言及。「この協業で、今までにない新しいコンテンツを作っていけると確信しています」と自信をのぞかせました。


1億人以上のアクティブユーザーを持つbilibiliは、その82%がZ世代(1990年代半ばから2000年代初めに生まれた世代)。同社は近年、日本アニメの海外ライセンス購入やスマートフォンゲームの配信権取得など日本進出に積極的な姿勢を見せており、今回の業務提携で日本市場開拓に向けてさらなる一歩を踏み出します。
スマートフォンゲームでの協業は、2018年12月にグリー、bilibili共同出資によるbGゲームス株式会社を設立予定。代表取締役社長はbilibili副総裁の張峰(ザン・フン)氏が就任します。出資比率は非公開ながら、グリーによれば「マジョリティはbilibili」とのこと。本社は東京・渋谷に構えられますが、開発の主な拠点は中国のbilibiliが担当します。
bGゲームスの第一作目のプロデューサーには、編集者として『とある魔術の禁書目録』、『ソードアート・オンライン』などの大ヒットノベルを多数生みだした株式会社ストレートエッジの三木一馬氏と、スマートフォンアプリ『実在性ミリオンアーサー』を手がけた株式会社シシララの安藤武博氏が就任。2020年中のリリースを目指して、日中の両市場に向けた新作スマートフォンアプリの企画・開発に乗り出します。

また、bGゲームスで制作する新作のみならず、グリーの既存タイトルに関してもbilibiliを通した中国での配信を検討するとのことですが、具体的な時期に関する言及はなく前田氏は「できるかぎり早く続報を出したい」と述べるにとどまりました。
VTuber事業に関しては、グリーの100%子会社である株式会社Wright Flyer Live Entertainment(以下WFLE)が、VTuberの道明寺ここあをプロデュースする株式会社バーチャルユーチューバーと資本業務提携を締結。bilibiliが有するネットワークを生かした日中同時配信などのグローバル展開で、両国におけるさらなるファン層の拡大を目指します。VTuber人気は中国でも拡大中とのことで、張氏は「中国ではまだ盛り上がりが始まったばかりだが、今後人気が出ると見込んでいる」と語りました。

WFLEはスマートフォン1台で誰もがすぐVTuberになれるサービス「REALITY Avatar」も提供しており、こちらに関しても日本で配信できるものは中国でもできるように検討していくとのことです。
最後に田中氏は「ゆくゆくはゲーム、VTuberにかぎらない新しいコンテンツを作成・配信し、両社の取り組みをより大きなものにしていきたい」と語り、張氏は「グリーとbilibiliはどちらも大変な成功を収めているが、短所もある。おたがいに長所を学び合い、短所を補い合っていきたい」と業務提携に関する意気込みをあらためて表明しました。