「Project Morpheus」のコンセプトは、ゲーム体験から「枠」を取り去り、究極のリアリティを実現すること。そこにいる、そこにある、という感覚を想起させるため「視覚」「サウンド」「トラッキング」「コントロール」「簡単な操作」「コンテンツ」などを高い次元で調和させる必要があります。そのため、ハードウェア自体も昨年のGDCで発表されたものから有機ELパネルの採用とサイズ拡大、新開発の3Dオーディオ技術の導入、トラッキングLEDの追加、ハード設計の改良など変更が行われています。

また、ハード的な改良だけでなく、ソフトウェア開発の面でも整備が進められていると豊氏は強調。ソニーが提供しているゲームエンジンの「PhyerEngine」はデフォルトで「Project Morpheus」での開発に対応。現在はミドルウェア対応やドキュメント整備が進められているそうです。ちなみに「PhyerEngine」での開発事例は増えていて、特にプレイステーションプラットフォームに特化し、ハードをゴリゴリ叩くような開発では重宝されているそうです。全ソースコードが公開されているため、かなり手を入れて使われているケースも多いようです。

幅広く使われている「Unreal Engine」や「Unity」といったゲームエンジンも「Project Morpheus」での開発を標準でサポート。Epic Gamesでは「Project Morpheus」向けに開発を行っているデベロッパーへの技術サポートも行っているようです。また、シリコンスタジオも「YEBIS」で対応済みのほか、「OROCHI4」「Mizuchi」でも対応予定です。
前述の通り、「Project Morpheus」では新開発の3Dオーディオ技術が搭載。「Project Morpheus」側のプロセシングユニットに専用ハードが搭載され、処理の大半がそちらで行われるため、本体のリソース消費が最小限で実現されています。このサウンド周りも、「ADX2」「Wwise」「fmod」などのサウンドミドルウェアが既に対応を完了しているそうです。
その他、2Dと3Dのハイブリッド表現を可能にする「Live2D Euclid」や、2Dアニメーションツールの「OPTPiX SpriteStudio」なども「Project Morpheus」への対応が行われているとのこと。
ちなみに「Project Morpheus」では120Hzでの描写が推奨されますが、これをゲーム側で実装することが難しい場合でも、ハードウェア側で「リプロジェクション」という処理が行われ、補完処理が行われ自動的に120Hzで動作させることができるようです。

既に多くのデベロッパーがVRへのチャレンジを始めていますが、幅広く使われているミドルウェアが対応を完了しているということは、更にその動きを加速させるものになりそうです。