Enlightenは昨今のゲームグラフィックで必須となった、リッチな大域照明(間接光表現)を可能とするミドルウェアです。アンリアルエンジン4とユニティに統合されているだけでなく、自社エンジン向けにSDKも提供されています。
Enlightenの採用タイトルには『バトルフィールド4』『ドラゴンエイジ:インクイジション』『プラント vs.ゾンビ:ガーデンウォーフェア』などがあり、これらは内作エンジンへの組み込み例。一方で両ゲームエンジンを採用しているタイトルなら、AAAからインディまで数多くの開発者が恩恵を受けていると言えるでしょう。
はじめにPedersen氏は室内のライティングを「窓から差し込む太陽光や、室内の照明器具による直接光表現」と「各々の光が室内で反射することでもたらされる間接光表現」で切り替えながら、Enlightenの間接光表現のパワーについて解説しました。ランタイム側で間接光をリアルタイムに制御することもでき、ライトスタンドを倒すと部屋の明るさが動的に変化するといった表現も、エディタ上で手軽に確認可能です。


室内にさまざまな色の照明器具を設置し、深みのある雰囲気をリアルタイムに作り出すデモも披露されました。アンリアルエンジン4のブループリントを用いて、テレビ画面のホワイトノイズをオンオフしたり、ホワイトノイズ自体の色をリアルタイムに変化させたりといったデモも見られました。
後半ではPedersen氏から「照明と構図の三原則」について説明されました。
(1)面を有効に使う
床・壁・天井といった構造物からの反射光によって複雑な間接光が作られる。面をうまく使って光を受け取ったり、反射させたりしよう。
(2)できるだけ少ない光源体をプレイヤーから離れたところに配置する
明るい光は背景のディティールを白飛びさせてしまうし、光源を配置しすぎるとグラデーションが飛んでしまって、つまらない照明になる。逆に同じ画面内で暗い場所と明るい場所があると、プレイヤーの視線を往復させられる。あえて薄暗がりにすることが大事。
(3)照明に色を持たせる
白い光はつまらない。影も黒くしないほうが良い。各々のライトに固有の色調を設定し、それらを融合させることで、深みのある雰囲気が作れる。

最後にPedersen氏は大域照明によってシーンに説得力をもたせられるだけでなく、新しいゲームの可能性を切り開くこともできると指摘。LeapMotionに手をかざして、無数の点描で描かれたモノクロの画面に対し、リアルタイムに色彩を加えていくデモを披露しました。ゲームデザインと大域照明の融合がもたらす新たな可能性について、Pedersen氏ならずとも期待したいところです。