今年もあとわずかとなりました。そこで簡単に1年を振り返ってみたいと思います。今年のトレンドを一言でまとめると「ゲームソフトのプラットフォーム化」だったのではないでしょうか。これまでプラットフォームといえば、ゲーム機などのハードをさしていましたが、これがソフトウェアのレベルにまで降りてきた。具体的にはアイテム課金モデルの浸透です。PCオンラインゲームで先行していましたが、今年はmixiアプリなどのソーシャルゲームがブレイクし、一気にメジャーになりました。iPhoneでもアプリ内課金がスタート。ケータイゲームでも広告モデルから直接課金にシフトしつつあります。実はこうしたゲームの多くは、課金しなくても、そこそこ遊べてしまうんですね。ちょっとした暇つぶしには十分です。その上で「より快適に遊びたい」「もっと続きを遊びたい」「週末だけ楽しみたい」なんて時に課金してもらう。そのための仕掛けを数多く用意して誘導する。こうした「マネタイズ」(課金化)の議論が増えてきました。パッケージビジネスが基本のコンソールゲームでも、この流れが押し寄せています。象徴的だったのが、初速で5億5千万ドルを売り上げた大作FPS『コール オブ デューティ モダン・ウォーフェア2』でしょう。シングルモードが短く、マルチプレイ重視で、追加マップのダウンロード販売も取り入れられています。ちなみにコンソールにおけるプラットフォームモデルの先駆け的な存在が、音楽ゲームの『ROCKBAND』ではないでしょうか。国内では未発売ですが、海外ではパッケージに加えて追加楽曲のダウンロード配信で、大きな収益を上げています。パッケージ販売とダウンロードコンテンツのハイブリッドモデルです。こうしたゲームソフトのプラットフォーム化が進むと、タイトルごとのライフサイクルが長期化すると共に、ジャンルごとのタイトル集約が進む可能性があります。過去にもRPGなら「ドラクエ」「FF」というように、「定番化」の傾向がありました。今後は、こうした勝ち組、負け組が世界規模で進み、中間層がさらに減少すると思われます。そのため新たな勝ち組を作るには、オリジナルのタイトルで新ジャンルを創出し、独自のプラットフォームを作り上げる必要があるでしょう。さらなる大作化を進めるか、それともニッチからはじめて、マスに広げるか。使い古された言葉ではありますが、今後も「まったく新しい体験」の提供が鍵となります。また、そのためにはプラットフォーム化をみこしたゲームデザインが重要になります。ビジネスモデルとゲームデザインは密接に関係するからです。本当に重要なのは、ビジネスモデルからゲームを企画できるゲームデザイナーなのかもしれません。