Maya、MAXなどのDCCツールのみならず、ゲーム開発向けのミドルウェアにも分野を拡大するオートデスク。CEDEC 2011の初日に開催された「Autodesk ゲームミドルウェア 2012バージョン紹介」では門口洋一郎氏からBeast、Human IK、Kynapseの3つのミドルウェアの最新情報が紹介されました。■Autodesk Beast 2012まずはIlluminate Labsを2010年に買収して以来、初のバージョンアップとなる「Beast」です。「Beast」はグローバルイルミネーション(GI)やハイダイナミックレンジ合成(HDR)を始めとするリアルなライティングを作成するためのツールセット。買収当時で40タイトル程度に採用されていて、著名タイトルでは『ミラーズエッジ』『ダンデスインフェルノ』『God of War』などが挙げられます。デモでは事前計算のライトフィールドを用いながら、光源に応じて色が変化していくグローバルイルミネーションの実装が紹介されたほか、デザインツールがLuaスクリプトでの拡張に対応しゲームに応じたカスタマイズが可能になったことが説明されました。また、プレビュアーとしてeRnsTが用意され、APIを介してゲームエディターから結果を見るような仕掛けも用意できるとのこと。Unreal Engine 3とはインテグレーションが提供されているようです。■Autodesk Human IK 2012「Human IK」はリアルタイムのキャラクターアニメーションのためのミドルウェアで、非常に簡単にプロシージャルなアニメーションを実現することが出来ます。同社の「Motion Builder」から派生し、「Maya」にも同等の仕組みが入っているため、これらのDCCツールとの相性の良さも特徴です。「Human IK」を利用することで、アニメーターが手付で付けたモーションを環境に応じて補完して表現してくれます。デモでは窪地を上手く歩いたり、ハシゴを上っていくようなモーションを事前に作成せずとも動作させられるということが紹介されました。Unreal Engine 3とのインテグレーションもあります。また、2012バージョンではiOSにも対応したとのこと。■Autodesk Kynapse 2012「Kynapse」は非常にローエンドなAIソリューションで、NPC(ノンプレイアブルキャラクター)のためにパスの生成とパスファインディングを提供します。これまでに100タイトル以上に採用され、様々なプラットフォームやゲームエンジンとのインテグレーションが用意されています。デモでは兵士が拠点から目的地の城に向けて進行していくという様子が示され、ダイナミックに変化していくパスにも臨機応変に対応して動いていく様子が確認できました。2012バージョンでは「パスオブジェクト」が導入され、キャラクターが利用するレベル上の仕掛け(川を渡してくれる船、近道になるエレベーターなど)が簡単に配置できるようになりました。複雑な仕掛けのあるレベルや、ダイナミックに変化するようなレベルに対応できるのがKynapseの特徴になります。最後にオートデスクが取り組む「Project Skyline」についても映像で紹介されました。「Project Skyline」はDCCツール群とゲームエンジンを繋ぐソリューションで、MayaとUnreal Engineを連携させ、ゲームエディッターで見ているキャラクターのモーションをMayaですぐに修正するような様子が見られました。製品化のスケジュールなどはまだ未定なものの期待がかかります。
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