これまで何度かSNS/ソーシャルゲームのユーザープロフィールや各種KPIに関する当社(ゲームエイジ総研)の調査データとそれに基づいた考察を加えてきましたが、今回は利用者がソーシャルゲームをプレイしている動機や目的はどのようなものなのか、ということに関する調査データをご紹介いたします。まず、【図1】はソーシャルゲームをプレイしたことがある人のプレイ動機・目的を示したものです。母集団は、これまでにソーシャルゲームをプレイしたことがある人(約3,500万人)を対象としています。※調査データを元に、当社独自のウェイト値により推定規模に拡大集計ソーシャルゲームをプレイする動機・目的として最も回答が多かったのは「暇つぶし」です。実にソーシャルゲームプレイ経験者の4割に及んでいます。エンターテインメント(娯楽)というものは、“余暇”つまり文字通り余剰時間を利用して楽しむものですから、ゲームであろうと映画や読書であろうと、この「暇つぶし」という側面があるのはある意味当然といえます。しかし、この「暇つぶし」がその他の要因よりも圧倒的に高いということが、まさにソーシャルゲームの特徴、あるいはベネフィットを最も端的に表しているのではないでしょうか。翻って、ゲーム専用機の場合のユーザーのプレイ動機を考えると、これについては調査データがあるわけではありませんが、おそらくここまで「暇つぶし」の比率が高くはないのではないかと想像します。これは、もちろんそのデバイス特性に拠るところが大きいと考えられます。パソコンは別として、フィーチャーフォンやスマートフォンの場合、基本的に常に携帯しているデバイスであるという最大の特徴があります。「携帯」という点についてはニンテンドー3DSやPSPなどのいわゆるハンドヘルド機も要件を満たしていますが、携帯電話(フィーチャーフォン、スマートフォン)の場合は、ゲーム専用機のように“外出の際、意識して持ち出す”“プレイする際に改めて取り出す”といったことを必要とせず、通話やWeb閲覧、音楽鑑賞、ゲームといった一連のコンテンツを“シームレスに楽しめる”というのが利点です。これが「暇つぶし」という最大ニーズを生み出している源泉であるのは間違いありません。2番目には「直接的な友人・知人とのコミュニケーション」が入っています。似た要素として、他にも「人との出会い・仲間の存在」もプレイ動機となっています。ゲーム機専用機でもインターネットを介して不特定の他者とのコミュニケーションは可能ですが、こちらに関しても、ソーシャルゲームの方が優れている点のひとつだと言えるでしょう。次に、【図2】はこれらの要素をセグメント別(性別/年齢層別/IPS別)に分解した詳細データです。要素ごとに上位のセルをハイライト(1〜3位:赤/4〜5位:青)しています。先ほどの「暇つぶし」は、もちろんすべてのセグメントで高い比率を示していますが、年齢別に見ると20代から30代といった世代の比率が特に高いことが分かります。社会人となり学生時代のようにゲームに真正面から向き合うというよりも、ちょっとした隙間時間を利用してソーシャルゲームを楽しんでいる姿が想像できます。その他、「暇つぶし」以外の各セグメントの特徴として、いくつか以下のような点が挙げられます。<男女別傾向>[男性]・女性に比べ、自らの意思よりも仲間との関係を気にする傾向が強い→自分が抜けると友達に迷惑がかかる、プレイしていないと仲間とのコミュニケーションに支障が出る・「異性との出会い」が女性よりも強い動機となっている・女性よりも虚栄心が強い→目立ちたい/自慢したい、お金のため[女性]・「好きな題材・キャラクター」の存在を重要視している<年齢別傾向>・10代は「友人とのコミュニケーション」が重要なプレイ動機となっている・同じく10代にとっては「流行っているかどうか」も非常に重要・「異性の存在」を意識しているのは20代ユーザーに多い・「お金」にまつわる動機が強いのは20代から30代以上、ソーシャルゲームのプレイ動機に関する調査データをご紹介しました。ただ、いずれの要素も最大の動機である「暇つぶし」に比べるとそのレベルには大きな差があります。「暇つぶし」というと、何やらネガティブな響きのある言葉のように聞こえるかも知れませんが、実際問題コンテンツを供給する側からすると、これは非常に重要かつ普遍的なテーマです。ある面において、じっくりやり込んでもらった上でプレイヤーに面白さを感じさせるよりも、短時間のプレイで面白さを伝えるということの方がはるかに難しいことです。ひとたびつまらないと感じたユーザーはそのコンテンツを再びプレイすることはありません。ソーシャルゲームの制作者は、プレイヤーにいかにして楽しさを伝え、その結果としてリプレイバリューを創出(継続率の向上)するために、この「暇つぶし」という命題に日々向き合い、腐心していることでしょう。ゲームエイジ総研コンテンツアナリスト 池田 敬人調査スキームについて本ページ掲載のデータは、約2万サンプルを対象とした大規模インターネット調査の調査結果を元に、社会調査(訪問調査/毎月実施/1,200サンプル)をベースに構築したウェイトバック値(補正係数)により拡大集計したものです。この手法により、ネットバイアスを排除したユーザープロフィールの実像を推計することが可能となっています。なお、調査手法その他詳細につきましては、ゲームエイジ総研のHPにてご確認ください。