GDCが最新のゲーム技術を開発者に示す場だとすると、今年は正にそれを体現する年となりました。話題の中心はOculus VR社が開発する「Oculus Rift」(オキュラス リフト)と、ソニーが初披露した「Project Morpheus」(プロジェクト モーフィアス)という2つのVRヘッドセットでした。双方に触れることができましたのでレポートします。■完成度を上げた「Oculus Rift」の新バージョン一年前のGDCにも出展されていた「Oculus Rift」。昨年は開発者向けの製品を出荷し、瞬く間に世界中で多数の対応タイトルが開発されました。日本も例外ではなく、「Oculus Game Jam」のようなものが開催されたり、先日のBitSummitでも複数のタイトルが出展されるなど高い注目を集めています。バーチャルリアリティの可能性を示し熱量を上げた「Oculus Rift」は第2世代となる開発者向けの製品を用意し、今年のGDCで初披露しました。第2世代は解像度が1080Pと大幅に改善し(立体視のため片目あたりは960x1080px)、カメラが追加されたことで位置や距離のトラッキングが可能となりました。ハードウェアのデザインも多少こなれた感じが出ました。どの時間帯でも行列が絶えなかったブースでは、CCPの『EVE Valkyrie』を「Oculus Rift」に対応したものと、Epic GamesがUnreal Engine 4を用いて開発した『Couch Knight』の2種類が体験できました。『EVE Valkyrie』はゲームの世界に入り込むのがどのような体験になるかを示すものです。360゜に広がる宇宙空間で、敵とのドッグファイトを繰り広げます。お互いに高速で飛んでいる状態で、周囲を見回しながら索敵していく。VRヘッドセットの本領発揮です。第一印象は高い解像度は正義だということ。依然としてピクセルの粒感が目に入ってしまいますが、前の世代と比較すると圧倒的な改善が見られます。最低限のラインに達したと言って良いでしょう。一方の『Couch Knight』はリビングに入って遊ぶ対戦ゲームです。リビングには可愛らしい二頭身の剣士が二人いて、戦います。プレイヤーはソファーに座った状態で彼らをコントロール。部屋を走り回りながら戦うので、周囲を見渡すような動作も必要です。第二世代の「Oculus Rift」は反応速度が改善されていて、体験していても、その恩恵を感じることができます。ゴーグル部分も軽量化され、すっきりに。そのお蔭か、装着感が改善されゲームの世界に、よりどっぷりと浸かれます。----■「Project Morpheus」で世界に入り込む楽しさを知る一方の「Project Morpheus」です。水曜日の発表は高い熱を持って迎えられました。基本的な性能や機能は変わりませんが、「Oculus Rift」がゴーグル型できっちり固定がされるのに対して、サンバイザー型で上から緩く被せる形になります。長時間プレイした際の圧迫感や、蒸れの問題、動いた際の安全性などが期待できます。また、PlayStation 4の既存の周辺機器との連携も特徴で、位置や距離のトラッキングには、「PlayStation Camera」とコントローラーの「デュアルショック4」が用いられます。カメラを使うのは「Oculus Rift」と同様ですが、デュアルショックも活用することでより正確なトラッキングが可能になると考えられます。また入力装置として決まったコントローラー(デュアルショック4とMove)が存在することも開発者としてはターゲットが想定し易く優位な点となりそうです。筆者が今回体験できたのはCCPの『EVE Valkyrie』(なんと同じゲームが)と、ソニーが制作した『Deep』『"The Mars"』という2つのデモです。『EVE Valkyrie』で体験できるのは「Oculus Rift」と全く同じで、戦闘機の発信から、宇宙空間でのドッグファイトまで。唯一違うのは、筆者が慣れたので上手く敵を撃墜できたことでしょうか。その効果もあってか(?) 映像の粒感は「Oculus Rift」の際より感じませんでした。続いて『Deep』はSCEロンドンスタジオが開発したという水中に潜るデモ。リフトのカゴに乗って、徐々に深海へ。ときおり魚の群れが通り過ぎ、体を動かして眺めたり。後半では巨大なサメがリフトを襲い、おわわわ、となったところで終了。びっくり具合にブース担当者は失笑していましたが、そういう迫力が味わえるということです。『"The Mars"』はNASAが撮影した火星の地表データを用いたデモで、火星に降り立った感覚を得られます。しばらくすると探査機のCuriosityがやってきて、何やら探査のようなことをしています。その動きを見ているだけでも楽しい。その空間にいて、他者の存在もある。これはVRならではの体験です。少し歩いて回りこむと別の角度からCuriosityを見れます。そしてしゃがむと下からの絵も。これは感動がありましたね。短い体験で感じた「Project Morpheus」の良さと改善点はサンバイザー型であるという点に尽きます。装着感が良好な一方、強く固定されるわけではないのでブレが生じて映像が不鮮明になるケースがあります(特に自分が動いた場合ですね)。固定方法は今後改良がなされることを期待したいです。----■まとめ最後に「Oculus Rift」と「Project Morpheus」の筆者なりの良い点、悪い点をまとめてみました。ただし、両製品はSCE Worldwide Studiosの吉田修平プレジデントも話していたように、競合関係には無いと考えられます。切磋琢磨しながら、VRの世界を開拓していくことを期待したいですね。●Oculus Rift良い点・ヘッドトラッキングの反応速度・一旦装着するとブレが少ない・軽量化された(もっと期待したい)・視野角が広がった気がする改善の余地がある点・ハードウェアのデザインがオタクっぽい・長時間装着した際の圧迫感、蒸れの懸念・装着すると全く周囲が見えなくなる●Project Morpheus良い点・サンバイザー型で圧迫感がなく、蒸れの懸念がない・重さを感じない・入力装置が既に揃っている(PS CameraやMove)・ハードウェアのデザインはさすがソニー改善の余地がある点・サンバイザー型で適切な位置での固定が難しい・コントロールボックスが必要●両方に求めたいこと・簡単な装着方法の考案・さらなる高解像度化
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