しかし日本人のSteamゲームユーザーにとっての一番の問題は価格設定だろう。アメリカで販売されている値段よりもさらに高い値段で価格調整されたゲームを購入しなければならないことさえある。日本版の『Call of Duty: Black Ops』を例に挙げてみてみよう。アメリカでは$59.99で販売されたゲームなのだが、日本では$99.99で販売されていた。この価格の差が生じる原因は発売元のスクウェア・エニックス社にあると感じる。おそらくパッケージ版『Call of Duty: Black Ops』のメーカー希望小売価格である\7,980をそのまま当時の為替レートを用いて設定したのだろう。この判断にはいつくか首を傾げる部分がある。多くのユーザーはバカ高い値段設定を見て、その背景までは深く考えず、見たままの馬鹿げた値段設定から背を向けるだろう。ましてやスクウェア・エニックスe-storeではリテールバージョンが¥3,980で購入できるのだ。もしユーザーがそれに気が付いた時、どういった反応を示すのか想像するのは難しくない。
■リージョン・アクティベーション
リージョン・アクティベーションとは、簡単にいえば特殊なタイプのリージョンロックである。ここで、スクウェア・エニックス社から発売された 『Deus Ex: Human Revolution』 を例に挙げよう。このゲームはプレイする前にオンラインを通してアクティブしなくてはならず、例え正規のルートで手に入れたとしても異なるリージョンエリアではプレイできないようになっている。自由貿易、公正競争を標榜するEUマーケット内のユーザーでさえ、自由にゲームを購入する事が出来ないのである。それどころか不当ともいえる価格高騰(リージョンエリアによっては3割増し)がユーザーを苦しめた。※1
さらに、上で挙げたライセンス関連の問題があるにもかかわらず、多くのプレイヤーが自分のテリトリーにゲームを輸入している中、多くのパブリッシャーは特定のリージョンでもっと売れそうなタイトルの事を忘れてしまうようだ。加えて、このようなリージョンロックによる価格設定は独占禁止法に引っかかってしまう場合もあり、その一例としてEU圏内のようなオープン市場でリリースされたPC版の『Deus Ex Human Revolution』が挙げられる。そんな中、任天堂のパブリッシャーはこのコンセプトを熟知し、成熟させ、自らの物にしたようだ。彼等は人為相場の格差をそれぞれの国で保ち、異なる価格設定の中で最大利益を生み出している。