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新型コロナウイルスの巣ごもりによる需要の増加でビデオゲームに関する研究が見直されるようになっている中、海外の医療系メディアが昨年1月に発表された『The Sims 3』を用いたサイコパス(精神病質)特性に関する研究にスポットを当てています。
心理学専門の海外メディアPsyPostによると、をEAの大ヒットシミュレーション『The Sims 3』が使われているのは、カナダのレクヘッド大学とブロック大学の心理学者チームによる「Cheater-Hawk」と呼ばれる仮説のフォローアップを目的とした研究とのこと。同作は、人間のサイコパス特性を評価するために用いられています。
研究は205人の大学生を対象にしており、参加者全員が事前にサイコパス特性の測定を受けているとのこと。ゲーム中には、嘘つきで卑劣な「Cheater」、攻撃的で意地の悪い「Hawk」、神経質で恥ずかしがり屋な「Dove」、親切で協力的な「Cooperator」という性格の4人のNPCを用意し、参加者がどのような行動を取るのか調査しています。
すると、サイコパス特性の測定値が高かった参加者は、他のキャラクターを侮辱したり喧嘩を始めたりするなど、Hawkに似た攻撃的な行動をとることがわかりました。また、CheaterやDoveに対してよりネガティブな行動をとる傾向もみられました。
サイコパスはCheaterとHawkの特性を併せ持ち、DoveやCooperatorのような性格の人をターゲットにしやすいというのが「Cheater-Hawk」仮説でした。この実験では、サイコパス特性の測定値が高い人は、Hawkのような行動をとり、Doveのような性格をターゲットにしやすいという、仮説とはやや異なる結果となっています。
論文の著者らは、『The Sims 3』を用いたのは、誰も傷つけることなく実験を進められるためだとしています。また、ゲーム中の行動が必ずしも現実の行動と結びつくものではなく、サイコパス特性についてもさらなる研究が必要であると注意を促しています。
※ UPDATE(2021/1/25 18:50):誤字を修正しました。コメント欄でのご指摘ありがとうございます。