ネットリサーチに対応した調査用データベースを構築しているゲームエイジ総研は、7万人を超える規模の「PCゲーム調査専用パネル」を構築し、PCゲームとのエンゲージメントの度合いを測る指標となる「PC‐GUESS(PC Game User Engagement Scale Segmentation)」を作成しました。
PCゲーム調査専用パネル
パネル対象:PCゲームプレイ経験者、PCゲームプレイ意向者
パネル数:63,327サンプル
調査時期:2022年9月~10月
調査手法:インターネット調査
※数値はゲームエイジ総研が別途実施した社会調査に基づいて日本のゲームユーザー人口に拡大推計を行ったものとなっています
レポートサマリー
PCゲームプレイ経験者は1,052万人
・PCゲームプレイ経験者の45.5%は家庭用ゲーム機でもゲームプレイ
・男性が69.5%、女性が30.5%。男性20代と40代が150万人超え
・直近1年間に利用したPCゲームのプラットフォーム/サービスで最も多いのは「Steam」で318万人
PCゲーム潜在ユーザーは1,126万人
・PCゲームプレイ経験者と同程度の規模の有望マーケットが存在している
PCゲームとのエンゲージが強いイノベーターはPCゲーマーの12%
・PCゲームとのエンゲージメント指標「PC‐GUESS」を作成
・PCゲームとのエンゲージがもっとも強いイノベーターは253万人
・利用が少ないPCゲームのプラットフォーム/サービスほどイノベーターの利用率が高い
PCゲームプレイ経験者は1,052万人
PCゲームのプレイ経験者は1,052万人となりました。「現在もプレイしている」、「プレイしたことがある」など程度の差異はあるものの、規模は非常に大きくなっています。
家庭用ゲーム機のプレイヤーとの重なりは479万人で、PCゲームプレイ経験者の45.5%は家庭用ゲーム機でもプレイしているものの、5割以上はPCゲームのみのプレイ経験者となっています。【図1】
PCゲームユーザーの性年代構成を見ると、男性の20代と40代が多く、150万人を超えています。男性が69.5%、女性が30.5%と、約7割は男性となっています。【グラフ1】

また、直近1年以内で利用したPCゲームのプラットフォーム/サービスはSteamの利用者数が最も多く、独自のタイトルラインナップを持つDMM GAMESがそれに続きます。【グラフ2】

PCゲームの潜在ユーザーは1,126万人
PCゲーム調査専用パネルでは、PCゲームの潜在ユーザーも確認できます。「今後、PCゲームをプレイしてみたい」というゲーマーは1,126万人でした。PCゲームプレイ経験者と同程度の規模の有望マーケットが存在するようです。
本パネルはPCゲームユーザーの市場実態把握のほか、新作タイトルのコンセプト受容性調査、ニーズ・不満点把握のための調査、プロモーション施策を行う前の事前調査や施策後の効果検証など、さまざまな調査をPCゲーマーとPCゲーマー予備軍までカバーし、効率的に行えます。
PCゲームとのエンゲージメント指標「PC-GUESS」
コンシューマやモバイルゲーム市場と異なり、PCゲーム市場は未成熟であるといえます。本パネルの構築でPCゲームプレイ経験者や潜在ユーザーの規模が分かりましたが、実際にはゲームのタイトルやジャンル、調査のテーマによって調査したい対象はさまざまです。
そこで、PCゲームとのエンゲージメントの強弱を測るゲームエイジ総研独自の指標が作成されました。PCゲームプレイ経験者と潜在ユーザーを合わせたものとなっています。
PCゲームプレイ経験者には「オンラインサービス/プラットフォームの認知/加入」、「プレイ頻度」、「課金状況」といった要素に加え、潜在ユーザーも含めた「PCゲームとの結びつきの強さ」といった心理的な要素を加味したセグメンテーションを作成しました。

もっともPCゲーム市場にコミットメントしている「イノベーター」は253万人(12%)で、マーケットを牽引する存在となっています。それに次ぐ「アダプター」も253万人で、500万人で構成される「フォロワー」へつなぐ役割を担います。
この3セグメントで1,000万人規模の市場となっており、今後のマーケット拡大のキーになる1,172万人という最大セグメントである「ボーダー」が控えています。【グラフ3】
上位セグメントからいかに下位セグメントにユーザーを拡大するかがセルスルー/ダウンロードの拡大に必要であり、ひいてはPC市場そのものを拡大できるかどうかを左右します。

利用が少ないプラットフォーム/サービスほどイノベーター利用率が高い
先ほどの直近1年以内で利用したPCゲームのプラットフォーム/サービスをPC-GUESS指標のセグメント別で見たものが【グラフ4】です。
いずれのゲームプラットフォーム/サービスでもイノベーターの利用が多くなっています。もっとも利用されているSteam、次いで利用の多いDMM GAMESはイノベーターの割合が利用者の約5割、アダプターが約3割、フォロワーが約2割の構成になっており、コアなPCゲーマーからライトなPCゲーマーまで広く利用されています。

一方、3番目に高いYahoo!ゲームはイノベーター、アダプター、フォロワーの構成がいずれも約3割程度で、SteamやDMM GAMESと比較するとライトなPCゲーマーの利用が目立ちます。
また、利用がまだ少ないプラットフォーム/サービスではイノベーターのシェアが目立ちます。GOG.com、Humble Store、Green Man Gaming、DIRECT GAMESといったDRMフリーゲームの販売やKEYセールの利用者は少なく、このサービスのベネフィットを日本のユーザーが受け入れられるかどうかは今後も注視する必要があります。
PCゲームユーザーを行動特性/今後のニーズ/エンゲージメントでセグメントした結果、マーケットに及ぼす影響に違いがあることが分かりました。「PC-GUESS」は調査内容に合った調査対象を絞り込むのに有効な指標となっています。
まだ発展途上にあるPCゲームマーケットでユーザーを獲得していくには、これまでのようなコアユーザーや独特のニーズを持つファン以外にもライトな層やPCゲーマー予備軍にもアプローチする必要がありそうです。
ニーズを知るためにはリサーチを行うことが必要で、未知のユーザー層の情報を得るにはユーザーサンプリングや企画設計が非常に大切です。ゲームエイジ総研は、その際は「PCゲーム調査専用パネル」、「PC‐GUESS」指標を有効に活用してほしい…とまとめました。