ゲームエイジ総研は、2022年11月にリリースされるやいなや100万人規模のアクティブユーザーを獲得した話題のモバイルゲーム『勝利の女神:NIKKE』が2023年2月に実施したTVアニメ『チェンソーマン』とのコラボでユーザーをどれだけ獲得し、どのようにユーザー数が推移したのかの調査結果を発表しました。
利用データ:iGageデータ
調査期間:2023年1月23日~4月9日
コラボ開始週は13.8万人の新規/復帰ユーザーを獲得
『NIKKE』と『チェンソーマン』のコラボは、2023年2月15日に情報が公開されました。週刊少年ジャンプで第1部が連載された『チェンソーマン』は10代~20代の人気が高いIPです。コラボの告知ツイートも1.5万回以上リツイートされるなど、大きな話題となりました。
その1週間後となる2月22日から3月15日まで開催されたコラボイベントはプレイアブルキャラクターとして「マキマ」、「パワー」、「姫野」が登場し、さらにコラボストーリーやステージが実装されました。
ユーザー数の推移を追うと、2月13日の週の時点で、前週の倍近い2.8万人の新規ユーザーを獲得。さらに休眠/離脱していた7.8万人のユーザーが復帰しています。
イベントが始まった2月20日の週は、新規ユーザーが5.3万人、復帰ユーザーは8.5万人と、合わせて14万人近いユーザーが増加しています。その後もコラボ期間中は常に毎週5万人以上のユーザーを獲得しており、コラボイベントが一定の成果を上げたことが確認できました。
しかし、コラボ期間中のユーザー数は2週目から減少トレンドに転じたことがわかります。続落傾向に歯止めはかからず、コラボ終了後となる3月20日の週には、ついにコラボ開始以前のユーザー数を下回ってしまいました。【グラフ1】
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2月15日にリリースされたPC版をプレイするユーザーが増加したことが理由である可能性も考えられるため、コラボイベントに参加したユーザーが刹那的に離脱してしまったと断ずるには詳細な分析が不足しています。
しかし、それを踏まえても本コラボイベントでサービス開始時期から半減したマーケットにテコ入れし、Weeklyアクティブユーザーを50万人規模に引き上げたかったのが運営の本音ではないでしょうか。
コラボ終了前からユーザー数が減少
次に、コラボ期間にどのようなユーザーが増加したかを見ていきます。『NIKKE』のユーザーは男性が90%以上を占めていますが、その中でも、20代と30代男性だけで約70%、10代と40代の男性はそれぞれ10%という構成になっています。【グラフ2】
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年齢層別に見ると、コラボ開始週には20代男性は20.8万人、10代男性は9.2万人まで増加しています。特に10代男性はイベント発表前である2月6日の週と比較すると2倍に増加しています。
ユーザー数の増加が鈍かったのは30代と40代の男性で、30代男性はコラボ前後を比較しても増加数は2万人未満、40代男性も増加数は1万人未満となっています。【グラフ3】
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この増加数の違いは、やはり『チェンソーマン』が10代から20代に支持されているIPであることが要因だと推察されます。
コラボイベント前後のユーザー数の推移を年齢層別に見てみると、イベント終了後となる3月20日の週のユーザー数はイベント開始時よりもほとんどの年代で減少したことがわかります。【グラフ3】
特に減少が大きいのは増加が顕著であった10代と20代の男性であり、せっかく獲得できた新規/復帰ユーザーが、何らかの理由で離脱してしまったと考えられます。
今回はiGageで取得したファクトデータの紹介に留め、ユーザー増減の深い要因分析までは行われていませんが、ログデータで確認された新規/復帰ユーザーと離脱ユーザーの年齢層が『チェンソーマン』を支持する層とほぼ一致していることからも、コラボで参入したユーザーが早期に離脱して定着しなかったと推察できました。
モバイルゲームと著名IPのコラボ施策は、長期に渡るゲームの運営サービスにおける既存ユーザーの高齢化や新作のリリースに伴う離脱・休眠に歯止めをかけ、ゲームへの興味・関心が薄いユーザーを新規参入させることで、サービスを継続する戦略です。
ゲームエイジ総研は、今後もゲーム業界で数多く行われるコラボ施策やイベントがどのような効果をもたらしたのか、調査・分析を行っていくとしました。