「ソーシャル、日本の挑戦者たち」、サムザップ編の中編では同社の辻岡義立社長にプロデューサーレイヤーの話について聞きました。―――アプリの企画の発案やブラッシュアップは社内でどのようにされていますかまず企画のきっかけですが、定期的にやっている企画会議は採点形式でやっているものがありまして、そこにプロデューサーは年3億などの収益が上げられるようなテーマで企画を考えてきています。3分くらいでプレゼンして、質問をもらい、採点を決めるといった流れですね。可能性のあるモチーフだということになれば、その後その企画を出した人間と日高、あと企画が得意な社員が何名かいるので彼らも揃えながら詰めていきます。―――そこにはもう、結構工数をかけてしっかりと練りこまれるのですか?そうですね。開発に入るまでに企画を3ヵ月練ることになるので、スタート地点に立つまでにしっかりと練りこんでいくという形を取っています。プロデューサーは当事者意識を持った上で、愛情・情熱を持ってアプリの企画に取り組んでいます。何かクリエイティブなものを生み出してヒットさせるためには、その人のやる気と考え抜く力が必要です。そんな熱意のあるプロデューサーが出した企画であれば、おそらく成功するのでどんどん進めます。―――収益モデル、課金収益とリワード、広告収益のバランスを出来る範囲で構わないので教えてください。殆ど課金ですね。9割9分くらい課金です。リワードは入れてはいますが、お小遣い程度な感じですね。―――アプリをリリースした後で運用フェーズに入ったときに、プロデューサーサイドでの進捗管理、リレーション、分析のアプローチや運用チームへのフィードバックなどはどのようにしているのか流れを教えてください。これはプロデューサーによって結構色が出ますね。会社として1つやり方あるわけではないです。「1つのプロジェクト=1つの会社」と考えてもらいたくて、プロデューサー、またチームを構成しているメンバーによって全然違います。ただそれを前提としてですが、大体の場合はプロデューサーがまず1カ月の売り上げ目標を立てます。これを達成するためにどのくらいのタイミングでどういう企画を打つのか、といった前提戦略のようなものを作ります。そして、細かい仕様詰めをチームのエンジニア・デザイナーたちと一緒に作っていくというイメージですね。結果に関しても、皆で共有して皆で議論します。チームというのをキーワードにして運用していて、プロデューサーがチーム全員を巻き込んで1つのことを決めていく、というやり方ですね。―――チームの編成はどうなっていますか?1チーム平均6名です。プロデューサーが1名、エンジニアが2名、デザイナーが2名、そしてフラッシャーがプロジェクト兼任で関わっているというのが基本です。現在は新規のラインだったり、既存のサイト運用だったりで7チームあります。―――ちなみに現在社員数は?現在43名です。―――外部から委託、先々は正社員登用という形で入っている人も多いと思いますが、マインド・意識共有部分で社内で取り組んでいることはありますか?サムザップ、そしてサイバーエージェントグループのソーシャル事業部として大きい目標を設定しているので、それを常に目指そうというメッセージを代表者、幹部クラスの人がずっと伝えています。それ以外は大それたことは特にしていないですね。ただ、契約形態関係なく、社員と同じようなコミュニケーションを心がけていて、高い目標をクリアすることはかっこいいし楽しいんだ、という話をずっとしています。そして、実際それが楽しいと思ってくれる方を基本的に集めるようにしています。―――核から皆さんの意識共有がはかられて、真摯に取り組みができるといった形ですね。そうですね。勿論チーム単位、プロジェクト単位でインセンティブを用意していて、契約形態に関係なく皆でインセンティブを楽しんで使ってくれ、というやり方でやっています。―――11月にもアルバイトの方なども一緒に沖縄旅行に行かれたと聞きましたが。はい。めちゃくちゃ楽しかったですよ。3月末にも高い目標があるのですが、それを達成したら今度はハワイ旅行に行こうという話になっています。これも業務形態関係なくですね。結構な金額になりますが、それは全然問題ないくらい高い目標になっています。ですので、それに向けて今、皆頑張っています。―――企画職、プランニング職、プロデューサー職に求める必要な要素を3つ挙げるとしたら何ですか。コンシューマーでずっとやっていた方でソーシャルでやることに興味を持っている方も多いので、ソーシャルでやる可能性を考えている方に向けて何かイメージしやすいものがあれば教えてください。ここの定義は本当に難しいですね。ただ、「クオリティにこだわり抜く、面白いものを追求する」という精神をそもそも持っていない人はダメだと思いますね。ソーシャルアプリだけでなく、どの業界もそうだと思いますが、クリエイティブな仕事ならこれが必要ですね。あとは「チームを上手く統率する力」です。ソーシャルアプリならではだと思いますが、1人じゃ何もできない。本当にハードな業務で、高い壁がたくさんあるので、それを乗り越えるためにはチームが必要なんです。この統率する力は、上からプレッシャーをかけるのではなくて、仲間として同じ目線で目標を共有して、一緒に頑張ろうという雰囲気を作れるかどうか。これが重要ですね。3つ目は「違う職種の人と話せる言語を持っている」ことですね。プロデューサーは企画力だけではなくあくまで総合力が問われるので、デザインやシステムのことをエンジニアと共通言語で話せることが重要です。―――他の職種の方々が違う勉強会に行くなどの技術習得を会社側が支援していたり、勉強会の設定をしていたり何かしていますか?どんどん率先して行ってきてください、というメッセージは出している。また、それが費用のかかるものであれば、会社が負担するという形は取っています。その代わり、勉強したことを社内にフィードバックして、ノウハウにするということが前提です。―――サイバーエージェントグループ内で、何かシナジーで交流が持たれたりは?CyberXとサムザップは兄弟みたいなもので常に一緒にやっているが、その他とはあまり密にやってはいないですね。統括クラスの方がたまに食事に行ったり、他のソーシャルアプリ業界の方を含めて食事に行ったりはしています。また、現場単位ではちょくちょく交流しててるみたいではあります。―――今後リリースするアプリで狙っているイメージは、毎回ホームランのようなタイプなのか、量産体制で打率を狙うタイプなのか教えてください。ホームランですね。ヒット打率はあまり考えていません。勿論ホームランの打率は考えていますが、ホームランにするための期間をしっかりと持って、というイメージです。―――ちなみに今後のアプリリリースのスケジュールは?直近では年内に2本、プラットホームはモバゲーで出します。―――他社とのコラボリリースですか?コラボ的なものも年内に1本、年明けにももう1本と予定しています。外部とのコラボも積極的に考えていますね。企画自体はオリジナルだったとしても、中でやってるイベントはコラボするなどというのも積極的にやりたいです。最近1人アライアンス担当の人が入ってきたので、その人を活用しながら進めたいです。―――ありがとうございました。■著者紹介株式会社HatchUp 八反田智和1980年鹿児島県生まれ。慶応義塾大学卒。楽天リサーチ、外資広告代理店でのインタラクティブプロデューサーを経験した後、2009年より、ソーシャルゲーム業界に入る。WEB系人材会社営業(ソーシャル担当)を経て、2010年よりソーシャル企業支援会社HatchUpを設立、現在に至る。ソーシャル系イベント【STR】およびブログ(http://socialtoprunners.jp/)を運営している。
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