
【図1】をご覧ください。これは、昨年11月にiPhone(iPod touch含む)およびAndroidスマートフォンでゲームコンテンツをプレイしたユーザーのプロフィールです。赤は「ゲーム専用機所有者」、緑は「ゲーム専用機を持っていない人」を示しています。下の棒グラフはそれをさらに[5歳刻み]で年齢分布にしたものです。
ご覧の通り、iPhone/Androidどちらもゲーム専用機を持っていないプレイヤーが1/4以上を占めていることが分かりました。逆に言うと、3/4のユーザーはゲーム専用機とスマートフォンのゲームコンテンツを併用しているということになります。
年齢分布では、どちらも20代から30代がゲームプレイヤーの中心世代になっています。20代に入ると(ここでは5歳刻みにしていますが、厳密に言うとおそらく高校卒業と共に)ユーザー数が急増しているところなどはスマートフォンならではの特徴と言えるでしょう。「ゲーム専用機非所有者」が占める割合は特に世代間のばらつきはないようです。
iPhoneとAndroidスマートフォンでは、そのユーザー規模そのものに現状は若干の開きがあるものの、年齢構成やゲーム専用機の所有状況といった観点によるユーザー属性は極めて似通っているということが明らかになりました。
であるとすれば、iPhoneであろうとAndroidであろうとスマートフォンには違いありませんから、コンテンツ開発やマーケティング活動における対象ターゲットとして見る際には「スマートフォン所有者」としてひとくくりにしても特に問題ないのでしょうか?

そこで、今度は【図2】をご覧ください。こちらは同じくiPhone、Androidスマートフォンそれぞれのゲームプレイヤーと主要SNSのゲームプレイヤーとの重複状況をグラフ化したものです。棒グラフは「重複ゲームユーザー数」、折れ線グラフは「重複率」を表しています。なお、「重複率」は各SNSのゲームプレイヤー数全体を母数にしたものですのでご注意ください。
こちらは両者で傾向が異なります。大まかな傾向として、Mobage、GREEといった“ゲーム系SNS”はAndroid寄り、Facebook、アメーバピグの“コミュニティ系SNS”はiPhone寄りといった特徴が出ています。ただし、ハンゲームとmixiについては両者であまり差が見られません。
この傾向差について考察してみます。
たとえば、「それぞれのユーザーが急増した時期の因果関係」ということが考えられます。
スマートフォンの普及時期が異なります。iPhoneが先行者であり、それに対してAndroidが急追しています。今では両者でスマートフォン市場を二分する状況となっています。
一方SNS。Facebookやアメーバピグは当初はパソコンベースの利用者が大半を占めていました。対しまして、MobageやGREEは、どちらも基本的にフィーチャーフォンでのユーザーが圧倒的多数で、スマートフォンへの移行が今まさに本格化しつつあるという見方ができます。
すなわち、FacebookやアメーバピグについてはiPhoneにとって有利な環境が、MobageやGREEについてはAndroidスマートフォンにとって有利な環境がそれぞれその市場背景としてあったと言えるでしょう。
一見非常に似通っているユーザー構成であっても、他の情報とのつながりを探ることによって、それまで見えていなかった事象が顕在化するということはよく起こります。今回のデータ分析で見えてきたことも、コンテンツ開発やマーケティング活動を行っていく上で極めて有益な情報になるとご提案させていただき、今回のレポートを締めくくります。
ゲームエイジ総研
『Monthlyゲームマーケット・トレンドレポート』 発行人 光井誠一
調査スキームについて
本ページ掲載のデータは、約2万サンプルを対象とした大規模インターネット調査の調査結果を元に、社会調査(訪問調査/毎月実施/1,200サンプル)をベースに構築したウェイトバック値(補正係数)により拡大集計したものです。この手法により、ネットバイアスを排除したユーザープロフィールの実像を推計することが可能となっています。なお、調査手法その他詳細につきましては、ゲームエイジ総研のHPにてご確認ください。