現在のソーシャルゲーム市場における2大プラットフォームと言えば、間違いなくMobageとGREEということになるでしょう。必要以上に対立的な構図を強調する意図はまったくありませんが、ゲーム専用機市場の過去の歴史を振り返っても、プレイステーション対セガサターン、プレイステーション2対ニンテンドーゲームキューブ、そして現在のプレイステーション3対WiiやPSP対ニンテンドーDS(3DS)のように、いつの時代も2大プラットフォームが競い合いながらマーケットを牽引していることが多かったのも事実です。健全な競争原理が作用してこそマーケットが活性化するということも間違いなくあるでしょう。そういう点では、今のソーシャルゲーム市場についても、ある意味この構図が当てはまっているといえます。今回は、そのMobageとGREEの2大ソーシャルゲームプラットフォームの最新のゲームユーザープロフィールおよび市場動向をご紹介いたします。【図1】は今年8月のMobageおよびGREEのMAU(月間アクティブゲームユーザー数)、MPU(月間課金ユーザー数)、課金率の年齢別分布をまとめたものです。まず全体数値ですが、冒頭2大マーケットと書きましたが、MAUではMobageの383万人に対しGREEが270万人、MPUでもMobageの68万人に対しGREEが53万人と、いずれもMobageがGREEをやや上回っています。但し、課金率についてはMobageが18%でGREEは20%と、GREEが上回っています。次に年齢別の分布傾向ですが、これはどちらも非常によく似ています。Mobage/GREEとも、10代後半くらいからユーザー規模が大きくなり40歳くらいまでほぼ同じくらいのユーザーが存在しています。MPU(課金ユーザー数)や課金率についても、若干GREEの方が世代間のばらつきが多いようにも見えますが、10代後半から40歳くらいまでがメインとなっている傾向はやはり同じです。実は、このなだらかなユーザー分布こそがソーシャルゲーム市場の特徴といえます。今回はスペースの関係で掲載はしておりませんが、ゲーム専用機の場合は、どのプラットフォーム(ハード)についても、もっと世代間のばらつきが大きくなっているものがほとんどです。ゲーム専用機の場合は、20歳前後の世代にピークがあり、加齢とともにアクティブユーザー数が徐々に少なくなっていくという基本的なパターンがあります。唯一Wiiだけはリビングに設置してあるファミリー機としての機能を果たしている側面があるためか、10代と40歳前後世代(おそらく親世代)の2つのピークを持っているという特徴があります。ただ、いずれのプラットフォームも一様にアクティブユーザーの世代間分布に大きなばらつきがあるという点は共通しています。ソーシャルゲームは前々回(第38回)の記事でも触れた通り、“暇つぶし”という最大の動機を持っており、空間的・時間的な「隙間」においてそのベネフィットが発揮されるという特徴がこういったユーザー分布を生み出している源泉なのかも知れません。次に【図2】は、同じくMobageとGREEの主要KPI指標(MAU、課金率、ARPPU)の3ヶ月ごと推移(2月/5月/8月)をバブルチャートでまとめたものです。横軸が「課金率」、縦軸が「MAU」、バブル(円)の大きさはARPPUを表しています。こちらの図でも【図1】と同様に、MAUではMobage、課金率ではGREEが上回っているというそれぞれの特徴が確認できます。但し、よく見るとMobageもGREEも3ヶ月ごとに似たような動きを見せていることに気が付きます。具体的には以下の通りです。・2月→5月・・・課金率が若干上昇している反面、ARPPUが大きく縮小・5月→8月・・・課金率・MAUは低下するが、ARPPUは2月の水準にまで回復この要因について考えると、5月についてはGW明けの新聞報道から始まった「コンプガチャ規制」問題が表面化し、これに関するメディア報道が非常に目立った時期でした。もしかしたらこのことがソーシャルゲームユーザーに心理的な影響を与え、その結果高額課金が抑制されたということがあったのかも知れません。また、正式な規制は7月からでしたが、この時点で自主的にコンプガチャを中止していたパブリッシャーもかなり見られました。5月から8月にかけての動きについては、ひとつの仮説として季節変動による影響であるというのが当社の考えです。実は、当社が毎月発行している『Monthlyゲーム・トレンド・レイティング』でも、このMobageやGREEに限らず、他のプラットフォームでも、夏場(7月〜8月)にかけてゲームユーザー人口がやや縮小する傾向が確認されています。さらに言えば、この現象はゲーム専用機についても同様です。これについては、ひとつは夏休みや夏季休暇の時期を迎え、レジャーや旅行・帰省など、外出の機会が増えたことにより、エンターテインメント全体の中で、ゲームの相対的なポジション、あるいはプライオリティが低下したという原因が考えられます。もうひとつは、今年についてはこの時期にロンドンオリンピックが開催されたということがあります。このことも普段ゲームをプレイしているユーザーからテレビモニターや時間を奪った可能性があります。以上のことはあくまで仮説に過ぎませんが、これらの要因が重なった結果、ゲームユーザー人口がややシュリンクしたのではないかと考えています。今後も、随時最新情報をご紹介してまいります。ゲームエイジ総研『Monthlyゲーム・トレンド・レイティング』 発行人 光井 誠一調査スキームについて本ページ掲載のデータは、約2万サンプルを対象とした大規模インターネット調査の調査結果を元に、社会調査(訪問調査/毎月実施/1,200サンプル)をベースに構築したウェイトバック値(補正係数)により拡大集計したものです。この手法により、ネットバイアスを排除したユーザープロフィールの実像を推計することが可能となっています。なお、調査手法その他詳細につきましては、ゲームエイジ総研のHPにてご確認ください。
「日本ゲーム大賞2024」受賞作品発表!大賞は『ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム(ティアキン)』【TGS2024】 2024.9.26 Thu 新設されたブレイクスルー賞は『8番出口』、ムーブメント賞は『…