iOS向け基本無料レーシングゲームとして人気を博した『CSR Racing』のNaturalMotionから、Torsten Reil氏がGDCの壇上に上がりました。『CSR』はドラッグレースにフォーカスしたタイトルで、2012年6月にリリースされて以来AppStoreで人気を博し、単月売上が1,200万ドルにまで及んだほか、長い間チャート上位に位置しています。わずか9ヶ月で70億回ものレースを生み出した『CSR』がいかにして成功したか、その秘密はプレイヤーによる口伝、すなわちバイラルマーケティングにあったとしました。とはいえ放置していても噂が広まるわけがありません。まず着目したのはビジュアル。ゲームならば『Pong』から『グランツーリスモ5』まで、アニメならば「白雪姫」から「ファインディング・ニモ」まで進化の歴史があったと指摘。とくにアニメでは「ライオンキング」や「トイ・ストーリー」が節目になったとしました。こうした映像表現にかかる思想が『CSR』のコアの1つです。また、同社は『Backbreaker』シリーズなど数々のスポーツゲームでヒットを飛ばしており、合計3000万ダウンロード以上にも及びます。そこから得たノウハウもありました。重視したのは、LTV(ライフタイムバリュー)とCPA(コストパーアクション)の概念。いずれもマーケティングのキーワードで、後者は成果報酬型広告でよく用いられる用語です。LTVとCPAの両輪で加速しながら成功を獲得していったと述べました。さらに、ユーザーへのアピールとして、実際のドラッグレースを参考にしたことや、実在の自動車メーカーと契約しゲーム内に登場したことなどを紹介。とくに課金アイテムとしての自動車の売上は大きく、最終的には年間1億2,000万ドルにまで伸びています。ほかにはアクセシビリティのよさやチュートリアルへのこだわりをみせ、結果的に口コミへつながったとしました。そのなかにはプロドライバーであるJuan Pablo Montoya氏によるTwitterでの言及も含まれます。「車」と「ゲーム」、相性の悪くないジャンルを流行りのフィールドに乗せたNaturalMotioによる成功の秘訣は意外にも地道、王道。開発チームの一体感を強調していたのも印象的でした。