ヤマハは、歌詞を入力するだけで「VOCALOID」の歌声と伴奏からなる楽曲を自動的に生成する技術VOCALODUCER(ボカロデューサー)」を開発したと発表しました。「VOCALOID」は、歌詞とメロディーを入力するだけで楽曲のボーカルパートを制作できる歌声合成技術および、その応用ソフトウェアの総称。クリプトン・フューチャー・メディアによる『初音ミク』をはじめ、様々な対応ソフトがリリースされており、いわゆる「ボカロ曲」がニコニコ動画やYouTubeなどの動画ポータルサイトで高い人気を誇っています。このたび開発された「VOCALODUCER」は、歌詞を指定するだけで「VOCALOID」の歌声と伴奏からなる「ボカロ曲」を、自動的に生成できる技術です。曲調や歌い方などを、あらかじめ用意された選択肢から指定することで、こだわりの条件を反映した「ボカロ曲」も容易に生成することが可能となります。同社は2009年4月より、歌詞とメロディーに関するシーケンスデータを、インターネット経由で当社サーバーに送るだけで歌声を生成できるSaaS型のサービス「NetVOCALOID」を提供しています。「NetVOCALOID」は、歌声の合成のみに対応しており、伴奏やメロディーラインについては、あらかじめコンテンツプロバイダーが用意する必要がありました。しかしこのたび発表されたSaaS型の「VOCALODUCER」では、歌詞を指定するだけで、歌声だけでなく伴奏・メロディーラインも含めた「ボカロ曲」そのものを、自動的に生成できるようになり、音楽を楽しむためのハードルをいっそう引き下げてくれます。■技術概要1. 歌詞を入力するだけで「ボカロ曲」を自動作曲50文字以内程度の歌詞を指定するだけで、「VOCALOID」の歌声と伴奏からなる2〜8小節程度の楽曲を自動的に生成できます。歌詞の指定は、漢字や数字を交えた一般的な日本語の文章で行えます。また、パラメーターを指定することで、曲調や歌い方などを事前に調整することも可能です。2. 高品質な楽曲を生成する作曲・伴奏・歌声合成エンジンメロディーラインの生成には、J-POPの作曲ノウハウをアルゴリズム化した当社独自の技術を使用しています。リズムパターン、音高の変化、コード進行の3種類の「テンプレート」の組み合わせをもとに、自動的に魅力あるメロディーラインを生成します。自動伴奏の生成には、「PORTATONEシリーズ」など、当社製の電子キーボードで定評のあるスタイルエンジンとソフト音源を採用しています。歌声の生成には、最新の「VOCALOID」エンジンを使用することで、より人間らしい自然な歌声を実現しています。3. こだわりの作曲条件を簡単に指定可能「VOCALODUCER」では、詳細な作曲条件を事前に指定することで、利用者のこだわりを反映した楽曲を生成できます。・メロディーライン(主旋律/ボーカルメロディー)リズムパターン、音高の変化、コード進行のそれぞれの「テンプレート」を指定するだけで、約1万8千種類の音楽性豊かなメロディーラインを簡単に生成できます。今後、さまざまな「テンプレート」を追加開発するほか、3種類の「テンプレート」の組み合わせをグループ化したものを選択するだけで、ラップ風、ロック風、有名アーティスト風といった好みのメロディーラインを簡単に生成できる機能も提供する予定です。・伴奏伴奏の曲調は、ポップス、ロック、ダンスなど、現在、約30種類のスタイルの中から簡単に選択できます。今後もさまざまなスタイルを追加する予定です。また、伴奏の再生用の音源は、当社で定評を得ているハイエンドのアレンジャーワークステーションなどで使用されている音源をもとに開発したソフト音源から選択できます。※選択できるスタイルやソフト音源は、本技術を利用して開発されたサービスによって異なります。・歌声歌声は「VOCALOID」の豊富な歌声ライブラリから選択できます。男性の声、女性の声、力強い声質、スウィートな声質など、さまざまな特徴を持つ歌声ライブラリから好みの声を選択できます。また、歌い方に関するパラメーター(ジェンダー、ダイナミクス、ピッチなど)も指定できますので、好みにあわせて細かく歌い方を調整できます。※選択できる歌声ライブラリは、本技術を利用して開発されたサービスによって異なります。・楽曲全体楽曲全体のテンポ(BPM)を事前に指定したり、出来上がった楽曲全体にリバーブやコンプレッサーなどのエフェクトを適用することも可能です。キャンペーンサイトやゲーム、ソーシャルメディア上のコンテンツを開発するコンテンツプロバイダーに向けて、今冬よりこの「VOCALODUCER」をインターネット経由で利用できるSaaS型のサービスの提供が開始されるとのこと。SaaS型の「VOCALODUCER」では、歌詞と作曲用のパラメーターを記述したXMLファイルをインターネット経由で当社サーバーに送信するだけで、歌声と伴奏からなる「ボカロ曲」のオーディオファイルが生成され、ダウンロード用のURLが発行されます。高負荷な処理である歌声やオーディオファイルの合成は同社サーバーで行うため、コンテンツプロバイダーは本サービスを低負荷な環境で利用できます。また、本サービスは専用のWeb APIから利用できるため、利用時に複雑なシステムを開発する必要はありません。コンテンツプロバイダーは、スマートフォンやPCをはじめとした、インターネット接続とオーディオ再生ができるあらゆる端末から、より効率的に「ボカロ曲」と連携したコンテンツを開発できます。今後、英語や中国語などへの対応も予定している「VOCALODUCER」。10月23日から25日に幕張メッセで開催される「Web&モバイル マーケティングEXPO 秋」にサンプルウェブアプリケーションを参考出展するとのこと。(C) 2013 Yamaha Corporation. All rights reserved.
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