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「カメックスGX」や「ドンカラスGX」を手掛けたイラストレーターでありながら、プレイヤーとしても積極的に『ポケカ(ポケモンカードゲーム)』に取り組んでいるさだぢさん。その2つの立場に、特有のジレンマは無いのか。気になったので、さっそく聞いてみました。
◆プレイヤー兼イラストレーターという視点で見るポケカ
─ポケカはいつ頃から遊んでいたんですか?
さだぢ:
プレイヤーとして本格的にスタートしたのは、2018年の頭くらいですかね。選手としてちゃんと大会に参加しようと思ったのが、2018年9月のCL東京です。ただこの頃にはポケカがブームになってて、本戦には参加できず…。ちゃんと本戦に出れたのは、先日のCL千葉が初めてでした。
─さだぢさんはイラストレーターとしても活躍されていて、それこそCL千葉の直前に発売された「フルメタルウォール」では、ご自身が担当した「カメックスGX」が発表されましたよね。やっぱそういうカードって、大会で使いたくなったりします?
さだぢ:
そこはやっぱり、使いたくなるけど…ていうか、それよりも勝ちたい。
─あー、“勝ちたい”が来るんだ。
さだぢ:
CLっていわば競技の場だと思ってるので、勝ちにいかないのはプレイヤー精神に反するかなと。だから、そこはプレイヤーとイラストレーターで切り分けてるんですよね。イベントとか対戦会とか、そういうポケカを楽しむ場なら全然そんなことないんですけど、CL千葉の環境を色々と考えた時、ちょっと「カメックスGX」は厳しいかなぁ…と。
─最近は「先1マーシャドー」とか「ジャッジマン」で手札に干渉されることも多いですし、「ふしぎなアメ」に触れないと2進化デッキってどうしても辛いですよね。
さだぢ:
正直な話、僕がめちゃくちゃ有名で、「カメックスGX」を握ることでみんなが喜んでくれるのであれば、そういうこともしたいなとは思いますけどね。大好きなポケカを一緒に盛り上げたいですし。けど、認知度って大事だと思うんですよ。自分はまだ一人のプレイヤーに過ぎないから、まずはしっかり勝つ。そこからかなーと。
─なるほどなあ。結局CL千葉には、何を持っていったんですか?
さだぢ:
“わんにゃんビート”ってデッキです。でもやっぱり、周囲の知人や友人には、「カメックスじゃないの?」なんて、言われたりはしました。(笑)
─あー、まあそんな反応はありますよね。僕もそう思っちゃいますもの。こっちが勝手に期待しちゃってるだけなんですが…。(笑)
さだぢ:
いや、でもその気持ちは分かりますよ。僕も使いたいですから...!
─ちょっと話変わりますが、例えばジムバトルで隣の人が「カメックスGX」を使っているのを見たら、「おっ」ってなったりします?
さだぢ:
あ、それはあります。僕も人ですから。さすがに「それ描いたの俺だぜ!」とかは言いませんけど。(笑)
─心の中でニヤッと。
さだぢ:
そう、心の中でニヤッと。でもそれは、ポケカに限らないですよね。自分の仕事が世の中に出たら、やっぱりそれは嬉しいじゃないですか。
─それは間違いないです。
さだぢ:
ただ、例えばポケカの企画を考えたりデザインしたりバランス調整をしたり...といった中の方の名前はあまり表に出ないけど、イラストレーターは「自分が描きました」って言い切れるから、それは強いというか、ありがたいと思いますね。
─ふむふむ。イラストレーターとして参加して以降、ポケカの楽しみ方って、何か変わりました?
さだぢ:
今回の参加がきっかけで、有名なYouTuberさんと対戦する機会がありました。
先日機会があってYouTuberのもこうさんと自分が担当したカードを使ってポケカ対戦させて頂いたんですが、動画が上がってるので興味あったらぜひ! https://t.co/lAXjkl2e2u
— さだぢ (@sadaji_art) 2019年3月25日
あとは対戦会とかで「サイン下さい」と声を掛けて頂くことが増えましたね。とても嬉しいんですが、毎回ペンを持ち歩いてるわけじゃないので…(笑)それくらいかなぁ。あとはさっきも言った通り、担当したカードを時折街中で見かけたり、活躍したっていう話を聞いたりした時にニヤッとするぐらい。
─心の中で?
さだぢ:
そう、あくまでも心の中で。(笑)
◆インタビュー後の感想戦
「プレイヤーとイラストレーターは切り分けてる」と断言しながらも、「やっぱり担当したカードが活躍するのは嬉しい」と笑うさだぢさんの姿がとても印象的でした。そうそう、インタビューの前に軽くフリー対戦をしたのですが、そこで登場した「カメックスGX」に、僕のタッグチームが見事ワンパンされてしまい敗北…。う~ん、さすが!
◆ポケカの話をしよう
近年、大きな注目を集めている「ポケモンカードゲーム(ポケカ)」。奥深いゲーム性、思わずコレクションしたくなるようなデザインなど人気の要因は様々ですが、筆者がポケカにハマった一番の要因は、「様々な対戦相手との会話が新鮮だったから」かもしれません。
ネットワークによる不特定多数との通信が当たり前となった現代。相手と向かい合って会話するという行為の価値は、今後ますます見直されてくる気がします。
本企画では、ポケカに関連する様々な話題をゆるく取り上げる予定です。ぜひ今後もご覧ください。
聞き手:ねんね太郎
2017年7月、イベント取材が切っ掛けで『ポケカ』にハマったインサイド編集部員。好きなカードは「ダーテングGX」。新弾が出るたびに新しいデッキに浮気するばかりでいっこうに腕前は上がらないものの、「これはこれで幸せだな」と思う今日この頃。
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