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ディー・エヌ・エーの売上高が伸び悩んでいます。
2025年3月期第2四半期累計(2024年4月1日~2024年9月30日)は6.5%の減収。前期にゲーム事業におけるソフトウェア等の資産やのれんに関連する287億円もの減損損失を計上。償却負担が減って利益が出やすくなり、上半期は14.4%もの増益になっているものの、メガベンチャーにあるべき売上成長が失速しています。
マーケティングを強化したライブストリーミング事業がまさかの減収で、Pocochaの苦戦が見え始めてきました。ただし、10月30日にリリースした『Pokémon Trading Card Game Pocket(ポケポケ)』が好調で、停滞感から抜け出す起爆剤になるかもしれません。
今期の増収は本当に達成できるのか?
2025年3月期第2四半期累計の売上収益は前年同期間比6.5%減の702億6,200万円、営業利益は同14.4%増の54億9,300万円でした。ディー・エヌ・エーは通期業績予想を出していません。ただし、増収、営業増益を目指すとしています。
ディー・エヌ・エーはコロナ禍の2021年3月期に、ライブストリーミング事業の売上収益が前年同期の2.6倍となる242億1,100万円に急増。会社全体では12.8%の増収となって売上収益は1,369億7,100万円となりました。
しかし、そこからは停滞し始めます。2022年3月期は4.5%の減収、2023年3月期は3.1%の微増。2024年3月期は横ばいでした。
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※決算短信より筆者作成
ディー・エヌ・エーは2024年3月期に一部ゲームタイトルの回収可能額が固定資産に計上した帳簿価格を下回ったため、減損損失125億9,700万円を計上。2023年6月28日に『takt op. 運命は真紅き旋律の街を』をリリースし、2024年4月9日にサービスを終了しました。
テレビアニメやマンガなどとのメディアミックス展開を行った大型タイトルでしたが、1年ほどで終わりを迎えています。
さらにディー・エヌ・エーはこの期に、IRIAMの買収によって生じたのれん89億1,200万円の減損損失も計上しています。Pocochaとの相乗効果を狙って120億円で買収しましたが、2024年3月期のIRIAMの売上高は67億円ほど。14億円の損失を出しています。
2024年3月期は、ゲーム事業において中国の開発・運営体制の見直しも行いました。規制強化などゲーム事業を取り巻く環境が変化している上、ゲームの開発費や運営費が増大。2025年3月期からは日本拠点を中心とし、グローバル市場に向けた大型IPを中心として開発を進める方針へと転換しました。
ディー・エヌ・エーは代表取締役会長・南場智子氏と、代表取締役社長兼 CEO・岡村信悟氏の役員報酬月額50%を3ヶ月間返上して経営責任をとりました。
今期は仕切り直しを行った後の再スタートを切ったタイミングだと言えるでしょう。
『ポケポケ』が下半期にどれだけ業績貢献するかが分水嶺に
ゲーム事業の売上収益は前年同期間比14.4%減の225億4,800万円、セグメント利益は5.6倍の23億8,000万円となりました。『takt op. 運命は真紅き旋律の街を』のサービスを終了したことや中国エリアの縮小を受けて1割超の減収。減損損失を計上したことにより、大幅な増益となりました。
ゲーム事業の上半期における減収と大幅な増益は経営陣の見込み通りだったでしょう。
2024年10月30日、『Pokémon Trading Card Game Pocket』がリリースされました。2024年11月1日には全世界累計1,000万ダウンロードを突破するなど滑り出しは好調。