CDN(Content Delivery Network)とは、画像や動画、音楽などのデジタルリッチコンテンツをユーザーに向けて高速で配信するための土台・仕組みのことです。そんなCDNがゲーム業界に、ひいてはゲームにどのように関わるのか? 同社のシニアソリューションエンジニアである山田晃嗣氏にお話をうかがいました。
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「かいつまんで言えば、CDNとは、みなさんが普段使っているインターネットをより早く、より快適に使っていただくための仕組みのことです」と説明してくれた山田氏。ユーザーが、あるWebサイトやコンテンツにアクセスする際に、コンテンツサーバー(オリジンサーバー)とユーザーが直接やり取りをするのではなく、各地に張り巡らせたキャッシュサーバーが間に入って"代理"を務めることで応答を早め、かつトラフィックの増大を防ぐことができます。
ストリーミング動画の配信には大なり小なりの遅延がつきものですが、ライムライト・ネットワークスのCDNは"1秒未満の超低遅延"がウリのひとつとなっています。「動画を配信すると、当然データ量は膨大なものになります。これを荷物に例えた場合、トラックやタンカーにまとめてピストン輸送するというのがよくある手法ですが、そうすると当然、荷物を積み込むための時間が発生します。これが遅延になるわけです。ですが、弊社のCDNは荷物をまとめず、細切れにして送り続けます。これが超低遅延を実現する仕組みです(山田氏)」。
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そんな同社が「GTMF 2019」に出展した狙いを尋ねると「新たなマネタイズの可能性を切り開くため」との回答が。「近年はストリーミングで配信するクラウドゲームや、プレイ画面を動画配信で見せる形が増え、それにともない、配信を見る視聴者という新たな層が生まれました。そして、既に日本においても投げ銭の文化は根付きつつありますが、特定の配信者や試合中のe-Sports選手を応援したりリアルタイムでゲーム内の武器や物資を提供したりできるようにする……ということで新たなマネタイズ方法も生まれるのではないかと考えています。ゲーム会社の方も新たなマネタイズを模索するなかで、弊社のCDNを導入していただければ、遅延がなくよりインタラクティブなサービスを提供できる環境を整えることができるはずです。そうすることで、我々には思いつかないような新たなマネタイズ手法を生み出すお手伝いができるのではないかと出展しました」。
前述した「DAZN」や、KDDIとフジテレビジョンによる「春高バレー(春の高校バレー 全日本バレーボール高等学校選手権大会)」におけるスマートフォン用AR観戦サービスの配信など、日本での実績も多数あるライムライト・ネットワークス・ジャパン。ゲーム業界での具体的な活用事例はこれから積み上げていくことになりますが、インタラクティブ・ストリーミングを掲げるアメリカのベンチャー企業・Genvid Technologiesとの共同研究に乗り出すなど、明日への一歩を見据えた動きを始めています。
山田氏は「弊社のCDNは、ゲームにおける新たなマネタイズを提示するためのソリューションだと考えています。弊社はゲームの開発は行っておりませんが、ゲーム業界の方たちならではの画期的なアイディアを実現するための部品・パーツのようなものとしてとらえていただければと思います」と語りました。
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