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ハードの性能向上に伴って開発規模も増加していき、中には実写さながらのグラフィックで描かれた作品を目にする機会も増えました。ですが一方で、小規模ながら素晴らしいアイディアやクオリティを見せるインディーゲームへの注目度も高まっています。
インディーの正確な定義は解釈によって様々ですが、少人数で取り組む作品がカテゴライズされる場合も少なくありません。そのため、クリエイター個人のセンスや判断がダイレクトに反映されやすく、また開発の方向性もまとめやすいため、独創性に富んだ満足度の高い作品が登場することもしばしばあります。
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昨年11月12日に発売された『天穂のサクナヒメ』も、好評を博して名が知られたインディー作品のひとつ。なる氏・こいち氏がコアメンバーとなり、時に外部クリエイターに協力を仰ぎながらも、ごく少人数の開発メンバーで制作。その規模は決して大きくはないものの、国内はもちろん海外でも高い評価を獲得し、SNSでも連日話題にのぼる人気ぶりを見せました。
11月下旬には早くも世界累計本数が50万本を超えるなど、その勢いに相応しい動向を見せていましたが、発売元のマーベラスが公開した2021年3月期決算説明資料によれば、出荷本数は更に積み上げを見せ、95万本を突破(2021年3月末時点)したとのことです。
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初回の出荷が最も大きな動きを見せ、その後落ち着いてしまうケースも多々ありますが、『天穂のサクナヒメ』は約4ヶ月の間に45万本もの伸びを記録。育成面を担う稲作パートが本格的だったことで話題になりましたが、その成長要素はもちろんのこと、爽快感のある2Dアクションパートの満足感、主人公のサクナヒメを筆頭とする魅力的なキャラクター陣、世界観を雄弁に語るグラフィックや聴き応えのある音楽など、あらゆる面で高い完成度を誇っていました。こうした出来映えの良さが口コミに繋がり、短期間では終わらない人気を支えたものと思われます。
また決算資料では、『牧場物語 オリーブタウンと希望の大地』の世界累計出荷本数についても触れられており、こちらも70万本と好調に推移しています。この2作品のヒットに後押しされ、同社の2021年3月期決算は大幅な増益を達成。『天穂のサクナヒメ』は、“米は力だ!”というキャッチコピーを掲げていましたが、米の力はマーベラスを支える一因にもなった模様です。
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