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KLabと九州大学 情報基盤研究開発センター 附属汎オミクス計測・計算科学センターは、「機械学習による新たなゲーム体験の創出の応用」をテーマにした共同研究を新たに開始すると発表しました。
AIに関連した技術が急速に発展している昨今、2021年より「識別AI」「推論AI」「生成AI」等の研究を共同で実施してきたKLab/九州大学は、それらを更に推し進め、これまで培ってきた技術を実際のゲームに組み込み、実証実験にてその有効性を検証していくとのことです。
KLab×九州大学、「機械学習による新たなゲーム体験の創出の応用」テーマの共同研究を新たに開始
研究の背景
近年、ゲーム業界では機械学習の活用が盛んになっています。とくに、簡単な指示にしたがって画像や文章、音声などを生み出す「生成AI」が急速に発展しており、生成AIがゲームの創り方や遊び方を革新する可能性に注目が集まっています。
KLabと九州大学櫻井大督研究室は、2021年3月に生成AIに関する共同研究を開始しました。2021年度には、リズムアクションゲームの譜面制作を支援する生成AIの研究に取り組み、開発した技術によって譜面制作ペースを2倍にする成果を生み出し、その研究論文は人工知能の世界最高峰の会議AAAI-23に採択されました。2022年度からは、ゲーム内に生成AIを組み込んで新たなゲーム体験を創出する研究を開始し、様々なタスクに応用できる知的エージェントの基本アーキテクチャを開発しました。
今年度は、その技術をさらに発展させて実際のゲームにて実証実験を行う予定です。
2022年度の研究について
https://www.klab.com/jp/press/release/2022/0525/klab_8.htmlAAAI-23論文採択について
https://www.klab.com/jp/press/release/2022/1226/geneliveaiklabaaai-23.html
研究の概要
ゲームキャラクターをはじめとする様々な自律エージェントの振る舞いは認知・判断・行動の繰り返しとして捉えられます。画像認識・音声認識・言語理解といった識別AIの昨今の発展により、エージェントを取り巻く様々な状況を正しく「認知」することができるようになりました。また、最近の生成AIの高度化によって、様々な「行動」をも動的に生み出すことができるようになりつつあります。識別AIが抽出した記号を処理して行動AIに適切な指示を送る推論AIが開発できれば、エージェントに「判断」能力が備わり、幅広いタスクを行える自律エージェントを実現できる可能性があります。
本共同研究では、昨年度に開発した推論AIを発展させ、実際のゲームに組み込んで有効性を検証します。本アーキテクチャは、ユーザーと高度な連携プレイをするキャラクターや、話しかけるたびに違った反応をするキャラクターなど、ゲーム体験を豊かにする幅広い応用が見込まれます。
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参考:2022年度の研究成果一覧(敬称略)
【国際会議】
「GenéLive! Generating Rhythm Actions in Love Live!」
-Association for the Advancement of Artificial Intelligence, 2023 (in press)
-Atsushi Takada、Daichi Yamazaki、Yudai Yoshida、Nyamkhuu Ganbat、Takayuki Shimotomai、Naoki Hamada、Likun Liu、Taiga Yamamoto、Daisuke Sakurai【国内会議】
「位相幾何・微分幾何及びその周辺分野への特異点論の応用」
-遊びは学び:ゲームAIにおける特異点論と多目的最適化
-濱田直希【講演】
「九州大学[ゲームとスーパーコンピュータ]シンポジウム」
-機械学習とスパコンが切り拓くモバイルオンラインゲームの未来
-濱田直希
「先駆的科学計算に関するフォーラム2022」
-機械学習を用いた譜面制作支援の研究
-濱田直希
「PCクラスタワークショップ in 神戸2022[クラウドとHPC]」
-クラウドとHPCを併用した機械学習プロジェクトのResDevOps事例
-濱田直希
「日本オペレーションズ・リサーチ学会 2023年春季研究発表会&シンポジウム」
-モバイルゲームにおける進化的多目的最適化と位相的データ解析
-濱田直希