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ゲームの歴史的価値の保存と利用を目的とする非営利団体「Video Game History Foundation(VGHF)」とソフトウェア全般の保存組織「Software Preservation Network」はアメリカにおけるデジタルゲームの再版市場に関する調査結果を発表しました。
「クラシックゲームの10個に9個は一部の熱狂的で熱心なファン以外にはアクセスできない」
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本調査はある期間のゲーム発行数に占める2023年4月15日における通常の流通により入手可能なタイトルの割合を見たもので、ビデオゲームの歴史的保存推進を目的として実施されました。2010年以前にリリースされた作品について5年ごとに期間を設けて調査が行われ、調査対象は1500本のランダムサンプリングされたタイトルとなっています。
調査結果は全期間における再リリースタイトルの割合で約13%、最も高い割合となる1990年から1994年のタイトルでも20%に満たないものでした。VGHFはこの結果に対し「クラシックゲームの10個に9個がビンテージ品の収集か著作権侵害による入手方法しか残されておらず、ほとんどのタイトルが一部の熱狂的で熱心なファン以外にはアクセスできないといえる」とコメントしました。
VGHFはこの研究結果をもって、兼ねてよりゲーム業界のロビー団体であるEntertainment Software Association(ESA)の業界による歴史の保全努力は十分である、保存機関による追加の保護は利益を損なうといった主張に異を唱え、書籍、映画、オーディオよりもはるかに制限されている図書館やアーカイブ形式での保存を推進すべきであるとしています。
失われゆく9割のタイトルは救われ得るか?
日本でも時折議論されるゲームの保存と利用に関する話題に一石を投じる今回の研究結果。レトロゲームの復刻やリメイクの話題も多くなった一方で、その全てを網羅するというのはやはり厳しいものに思えます。しかしその保全活動に対し企業が損失に繋がることを恐れるのも自然なこと。人知れず失われゆく9割のタイトルが救われる良い落としどころはあるのでしょうか…