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ゲームづくりを趣味にする。
これは何も「2020年代だからこその発想」ではなく、コンピューターゲーム黎明期から現象としてありました。たとえば光栄(現コーエーテクモゲームス)は、染料問屋の旦那が奥さんに買ってもらったPCを使って片手間で作っていたゲームから始まりました。もちろん、現代ではより手軽にゲームづくりを楽しむことができます。
既成のゲームをプレイするだけでなく、自分自身がゲームを作ってしまう。そのための情報発信を行っているメディアも存在します。
CEDEC 2023で開催された基調講演「"ゲーム制作の趣味化"により業界課題へ挑む - ゲームメーカーズが生まれた理由」にて、趣味としてのゲームづくりを円滑にするための取り組みが説明されました。登壇者は株式会社ヒストリア代表取締役 / ディレクター / ゲームメーカーズ ブランドマネージャーの佐々木瞬氏、同社PRマネージャー / ゲームメーカーズ ブランドマネージャーの有末けい氏、ゲームメーカーズ編集部編集長の神山大輝氏です。
ゲームづくりのためのメディア
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『ゲームメーカーズ』は、読者が自分でゲームを制作することを前提にした記事を取り扱うメディアです。
新作ゲームをプレイするのみならず、そのタイトルに活用されている技術は何か、ゲーム開発者はこのような取り組みを行っている、このようなゲームエンジンが発表された等、我々一般人から見れば技術的と思える内容の記事が並びます。しかし一方で難し過ぎる記事はあまりなく、プロのゲーム制作者ではない人にも寄り添った分かりやすい記事がズラリと並んでいます。
筆者澤田真一は理系出身というわけではまったくなく、むしろ大人になっても九九すら怪しい人間。そんな男でも理解できるほど平明な記事です。これはすごい!
「2022年5月10日に開始した『ゲームメーカーズ』は、以前から私が思っていたことを元ネタにしています」(佐々木氏)
そのネタというのは学生からの「ゲームづくりについて勉強するにはどこを見たらいいのか?」という質問について答えられなかったこと。また、「ゲーム制作者がヒーローになる場が欲しい!」という思いもあったとか。
「ゲーム開発情報がまとまっている場所が欲しい!」
しかし、この構想を持っていた頃はまだ「制作者の母数」が十分ではありませんでした。
そんな中、ゲーム業界の人材課題やアマチュア制作者のための情報コンテンツの不足、ゲームエンジンを使った職業を統括する業界がないことが徐々に背景を形成していきます。