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2023年8月23日から25日にかけて、コンピュータエンターテインメント開発者を対象とした国内最大規模のカンファレンス「コンピュータエンターテインメントデベロッパーズカンファレンス 2023(CEDEC2023)」が開催されました。本稿では、double jump.tokyoの代表取締役CTO・満足亮氏が登壇した「ブロックチェーンゲーム開発におけるチェーンの選び方」のレポートをお届けします。
ソーシャルゲームの持つ課題の解決が期待されるブロックチェーンゲーム
double jump.tokyoは「ブロックチェーン技術でゲームの未来を再構築する」をミッションとするブロックチェーンゲーム(以下、BCG)開発・運営企業です。『My Crypto Heroes』、『資産性ミリオンアーサー』などの開発/運営に携わるほか、ゲームに特化したブロックチェーンプロジェクト「Oasys」、IPを活用したNFTプロジェクト、ブロックチェーンを使うためのウォレットアプリなどにも幅広く携わっています。
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満足氏はまず、近年のソーシャルゲーム(モバイルゲーム)における課題を提示しました。具体的には、ガチャによるランダム性のあるアイテム課金は海外の国によってはギャンブル性があるとして受け入れられづらいこと、1人で遊ぶゲームが増え、ソーシャル性(他プレイヤーとのつながり)に乏しくなっていること、そしてサービス終了などでユーザーと運営の信頼関係が損なわれることを挙げました。
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そして、こうした課題を解決しうるのがBCGであるとしました。BCGでは、ユーザーがNFT(ゲーム内資産)を決められた額(ランダム性のない額)で購入/売却でき、そうした経済活動によってソーシャル性も構築。さらに、ブロックチェーン上に書かれた情報は透明性が確保されているなど、従来のソーシャルゲームにはない特徴や強みを持っています。
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次に、海外BCGの簡単な歴史が紹介されました。2017年に世界初のNFTを用いたゲーム『Crypto Kitties』が、2019年にdouble jump.tokyoが手がけた初のブロックチェーンゲーム『My Crypto Heroes』がリリース。その後の2021年の『Axie Infinity』が遊んで稼ぐ“Play to Earn”を提唱し、2022年の『STEPN』が歩いて稼ぐ“Move to Earn”で大ヒットを記録するなど、新たな遊びが提唱され続けています。
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EVM互換は? 手数料は? ブロックチェーン選択のポイントを紹介
BCGの概要の説明を終え、ここから本題である「ゲームを作る際のブロックチェーンの選定基準」が紹介されました。
ブロックチェーンは取引記録を分散的に処理・記録するので中央一元管理に比べるとネットワークの一部の不具合が生じてもシステムを維持できる強みがあります。しかし、その代償として1つ1つのロジック実行(トランザクション)にかかるコストが通常のデータベースよりもかさむため、BCGのロジックをすべてブロックチェーン上で動かすことはコスト面から見て現実的ではありません、と満足氏。
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メリットとデメリットを正しく認識し、1000を軽く超える数が用意されているチェーンの中から“実現したいことを実現できるものを適切に選ぶのが望ましい”ということになります。
以上のような基礎知識・前提を踏まえて、満足氏はブロックチェーンゲームを作る際に適したチェーンを選択するためのチェックリストを提示しました。
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自社と他社の事例を織り交ぜた導入事例紹介
ethereum(イーサリアム)
Bitcoinに次ぐ存在であるともいえるブロックチェーンプラットフォーム。EVMやERCなど、多くのブロックチェーンが参照する元祖といえる存在です。当初採用していたコンセンサスアルゴリズム・Proof of workは電気を浪費するので環境によくないという言説もありましたが、現在ではその懸念を解消したProof of Stakeに移行しています。