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PCゲーム配信プラットフォーム・Steamを運営するValveが、「過激なヘイトの拡散を許している」としてアメリカの名誉毀損防止連盟(ADL)の報告書で非難されています。
Steamは過激なヘイトの温床?
ADLは、反ユダヤ主義と合法的に戦うために設立されたニューヨークを拠点とする非政府国際団体なのだそうです。 同組織が発表した報告書によれば、2024年8月12日にトルコ北西部の都市・エスキシェヒルにて発生した、無差別刺傷事件の犯人であった10代の少年は銃乱射事件の犯人を賛美する白人至上主義的な声明を執筆していたことに加え、Steamを通じて過激なヘイトに満ちたコンテンツを投稿していたといいます。
Steamはゲームを購入できる配信プラットフォームですが、コミュニティ機能も充実しており、掲示板などで他のユーザーと交流することができます。充実したコミュニティ関連の機能はSteamが人気の理由のひとつといえますが、過激で差別的な投稿が見られるのは事実です。
今回ADLは、前例のないプラットフォーム全体規模でSteamコミュニティの公開データの分析を行い、4億5,800万人以上のプロフィール、1億5,200万人以上のプロフィールとグループのアバター画像、そして6億1,000万人以上のユーザープロフィールおよびグループのコメントを調べたとのことです。
その結果、反ユダヤ、ナチス、白人至上主義、トランスフォビア、ISISやハマスなどに関連するシンボルや記号が確認できただけでも8,300万以上見つかり、150万人のユニークユーザーと7万3,824のグループがそういったシンボルを最低1回以上使っていたそうです。Modについても触れられており、『Garry's Mod』を筆頭に銃乱射事件をモチーフにしたModが何百も見つかったといいます。
報告書では、Valveが行っているモデレーションについてその場しのぎに終始していると非難しています。なお、ValveはSteamにおいて様々な自動モデレーションの機能を常に用いている他、問題視されたコンテンツへの個別対応も知られていますが、全体に対しどの程度の効果があるかは広く公開されておらず未知数です。
今回の調査についてシンボルの使用された文脈などが考慮されたのか否かなど疑問点はある一方、インターネット上のヘイトや過激な書き込みを完全に根絶するのは難しいものです。Valveにより進んだ対処が求められることになるのか注目が集まります。