Epic GamesのCEO、ティム・スウィーニー氏が自身のXで、AIの進歩によってゲーム開発の可能性が広がるとの見方を示しました。採算やリソースの問題で実現できなかった作品も制作可能になるとし、「ゲームの新たな黄金時代が訪れるでしょう」と期待を語っています。
AIが「即席のカーマック」に。コードを書く先の仕事にも期待
スウィーニー氏によると、Unreal Engine 1の開発当時、難しい問題に取り組む本格的なコーディングに使っていた時間は全体の約30%。アセンブリ言語による描画処理や、システム設計、ネットワーク処理などがこれに当たるといいます。
残りの約70%は、エンジンに必要な機能を揃えるため、大量のコードを入力し、整理する作業だったとのこと。その間も、頭の中ではより難しい課題について考え、次の作業を計画していたそうです。
こうした作業について、同氏は現在のバイブコーディング(AIに自然言語で指示を与えてコードを生成する手法)とそれほど違う感覚ではなかったと回想。指示を出して結果を確認する代わりに、自分でキーボードを使ってコードを入力していたと説明しています。AIが人間と同程度の品質でこなせるようになれば、その作業を任せることは自然な流れだと考えていたため、そこに驚きはなかったとしています。
また、「むしろ驚いているのは、AIが、いわば“即席のカーマック”のような存在になってきたことです」と発言。『DOOM』『Quake』などの開発で知られるid Softwareの共同設立者、ジョン・カーマック氏になぞらえ、難しい技術的課題を巧みに解決するAIの能力を評価しています。
同氏は、設計文書やコンセプトアートなどを通じたAIへの指示が、コードの入力や3Dモデルの頂点調整を上回る手段になれば、開発者はより高度で価値の高い技術的・創造的な仕事に時間を使えると期待しています。
開発体制からツールまで、AI活用を進めるEpic Games

今回の発言は、Epic GamesがAIを重視した開発体制への転換を進めるなかでのものです。
Bloombergは先日、同社がディズニー関連の新作シューターを「AIファースト」で開発していると報道。アートワークを全面的なAIワークフローで生成する方針や、「手書きのコードはもう書かない」とする社内メッセージを伝えていました。
報道と同日、スウィーニー氏もXで、AIによる開発の加速を最大限に生かすため、人員配置や体制を見直していると説明。ただし、目的は少ない人数で同じ仕事をこなすことではなく、在籍する開発者が「より多く、より良いもの」を作り、その恩恵をUnreal Engineを使うチームにも届けることだとしています。
開発ツールへの導入も進んでいます。2026年6月に公開されたUnreal Engine 5.8では、対話型AIを接続し、エンジン内で開発作業を行わせるためのMCPサーバーサポートを追加。10月14日にプレビュー版が公開されたEpic Games Launcherでも、バイブコーディングの活用が打ち出されました。
一方、ゲーム制作への生成AI導入には反発もあります。6月には『Vampire Survivors』の開発元poncleが、Epic Gamesによるゲームアセット制作へのAI使用報道を受け、『フォートナイト』とのコラボを見直していると表明していました。
スウィーニー氏は今回の投稿で、「大切なのは、ゲームであれエンジンであれ、最終的にできあがるものです」と述べています。
制作へのAI活用をめぐっては、コラボ相手が見直しを表明するなど反発もあるなか、その成果がタイトルや開発環境にどう表れ、プレイヤーや開発者に受け入れられるのかが問われそうです。












