IGDA日本グローカリゼーション部会 (SIG-Glocarization)は2月11日、セミナー「理想のローカライズツール/ミドルウェア」を、サイバーコネクトツー東京スタジオ会議室で開催しました。福岡本社からも6名がHDTV会議システム「窓」経由で参加。理想のローカライズ環境について議論されました。講演者とモデレータは、▽ナニカ稲葉治彦氏▽バースデーソング音楽出版Windward Japanエミリオ・ガジェコ氏が務めました。第一部では昨年11月、ダウンロード配信レーベル「クロフネゲームズ」を立ち上げた稲葉氏が講演。「海外のインディーズゲームを日本のプレイヤーへ紹介すると共に、国産ゲームも海外に発信していきたい」と熱く語りました。Wiiウェアのアクションゲーム『カラーズ』を筆頭に、6作まで配信が決定しています。今やゲームの配信と開発の敷居が下がり、新興国にも市場が拡大しています。こうした中、数多くの面白いゲームが世界規模で誕生しています。クロフネゲームズでは未開拓である海外のインディーズゲームを紹介することで、日本のプレイヤーに刺激を与えていきたいとのこと。『カラーズ』も、一人でWiiリモコンを3個使うアクションがあり、こんなアイディアは海外インディーズならではとのことです。第二部のラウンドテーブルではエミリオ氏が司会を担当。パブリッシャー、ディベロッパー、ローカライザーが実際に直面している問題について議論し、現状改善のための提案を行いました。焦点となったのは、ローカライズ向けミドルウェアやツール導入の是非です。ゲームの大作化・言語数の増加・全世界同時発売の重要性などから、これらのニーズが高まっています。問題は大量のアセットの管理方法と、個々の翻訳の質をいかに向上させるか。前者はミドルウェア、後者は翻訳支援ツールの領分となります。ただし議論を通して、日本の開発・翻訳現場では、これらがまだ、ほとんど普及していない現状が浮き彫りになりました。大前提として、ゲームに特化したミドルウェアや翻訳支援ツールは、まだ存在しません。汎用的な製品を導入しようにも、ゲーム内テキストはエクセル形式で受け渡されるのが一般的。一方で多くの翻訳支援ツールはエクセルに対応していない点がネックとなっています。こうした中、ある翻訳家からは、翻訳支援ツール「Felix」を使用すれば、用語集の作成や参照が手軽にでき、効率が上がると紹介されました。ワードやエクセルのアドオンとして使える点も、現状に適しているとの事です。議論の最後には、「ゲーム業界で必要なミドルウェアや翻訳支援ツールは、ゲーム業界自体で生み出さなければならない」という意見が出ました。こうしたローカライズのプロセスの効率化は品質向上にもつながります。さまざまな立場の人が意見交換を行い、知見を共有することの重要性を感じるディスカッションでした。またローカライズ担当者が、ある程度社内で意思決定できる地位にいることの必要性が強調されました。ローカライズはオリジナル版開発に比べて一段低く見られがちですが、それだけに、こうした意見をどんどん外部に発信していかなくてはいけないという、今後の姿勢を見直す重要な意見交換の場にもなったといえます。なお、当日の模様はtwitterで実況ツイートされ、下記にまとめられています。あわせてご覧ください。