その言葉の通り、好きなことを仕事にしている人も多いと思います。一番わかりやすい例はコミケで同人誌を売っている作家さんたちなどはその類でしょう。しかし、ニ足のわらじという人も多いと思いますが、好きなことをやって自己実現をして、そのうえ対価を貰えるとは幸福なことではないでしょうか。
一方で、そうではない環境に居ると言う人も大勢いると思います。一般的にはそうではない人の割合のほうが多いと思います。本当は・・・がしたいけど、・・・だからしょうがない。というケースです。これもまた人生ですから致し方ありません。要はどこかで折り合いをつけることが重要なのではないでしょうか。
さて、私の友人の話をします。彼はテレビ関係の製作をやっていますが、趣味で鉄道や航空機の希少な映像を休暇のたびに各地に出かけては撮影をしています。おそらく彼の休日は趣味のためにあると言っても過言ではありません。その撮り溜めた映像やスチルの量は膨大です。今でこそパソコンのハードディスクのなかに収納できますが以前は写真とベータカムのテープ埋もれていたそうです。
その彼が今回映像ソフトを完成させました。日本航空の協力を得て、退役するボーイング747-400の映像を1枚のDVDのまとめた作品をプロデュースしたのです。撮影開始からは趣味のものから始めれば、すでに10年以上前からのコレクション素材と退役する一年前から日本航空に協力を仰ぎ貴重なアーカイブ映像や立ち入り禁止区域での撮影の許可などを取得してここまでこぎつけそうです。その苦労は並々ならぬものがあったと思います。彼はその映像を世の中に残すことが自らの使命と感じたそうです。その作品は「ありがとうジャンボ」という作品に集約されています。
このDVDは実質は有志による撮影の賜物で、スチルなどは日本国内の航空マニアからの協力に依るもので、撮影も特別なクルーを雇わず、自分たちで行ったというものです。もちろん本業がテレビ関係の仕事ですからその延長線ともいえますが、彼の場合は映像と言う職業を選んだ時点で「好きこそものの上手なれ」を実践していると言ってもいいでしょう。
そして、ゲームの世界ですが、今、私たちは新しいアプローチのゲームを開発しています。ゲームは「世界を変えられる」というテーマを具現化しようと思っています。
ずいぶんと大それたことを、ずいぶんと大上段に振りかぶったことを言いますが、ゲームが果たすことのできる社会的な意義と言い換えても良いのかもしれません。そのコンテンツは株式会社グラスホッパーマニュファクチュアリングに所属する飯田和敏氏との共同開発企画による作品です。
飯田和敏プロジェクト
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飯田氏の略歴に関しては言うに及ばず。ゲームが好き、何かを創り上げるのが好きな「好きこそ」を実践する数少ないクリエーターです。
今回、飯田氏が訴えたいテーマはまだ十分に伝わっていません。いえ、伝わったところで、それが充分に理解されるどうかはわかりません。売名、便乗などと揶揄される可能性もあります。しかし、動機や発想は「ありがとうジャンボ」のDVDを製作した知人の気持ちに通じるところがあります。
「ゲームは世界を変える」 言い換えるならば「世界を変えるゲーム」そのためにもそれぞれが為すべきことを為す必要があると感じるのです。
■著者紹介
メディアコンテンツ研究家
1960年・東京都生まれ。武蔵大学卒。レコード会社を経て、株式会社ギャガコミュニケーションズ(現・ギャガ)、株式会社セガエンタープライゼス(現・セガ)、株式会社デジキューブを経て株式会社デックスエンタテインメントを起業。映画製作配給、オンラインゲーム企画開発運営に携わる。その後株式会社ブシロード副社長、株式会社コナミデジタルエンタテインメントを経て、現在は株式会社NHNジャパンにてオンラインゲームの企画開発運営に携わる。一方で数々のエンタメ産業への造詣が深くメディアコンテンツ研究家としてコラム執筆を行う。ブログもご参照ください。Twitterアカウントはku6kawa230。