David Cage氏(以下、Cage氏)が率いるフランスのデベロッパー、Quantic Dreamは日本においては、『HEAVY RAIN -心の軋むとき-』(以下、『HEAVY RAIN』)における圧倒的にリアルで重厚感のある演出と、緻密に且つインタラクティブに紡がれたゲームデザインで一躍有名になりました。
ですが、同企業は、第一作目である『Omikron: The Nomad Soul』(以下、『Omikron』)では、神秘的な異世界空間に存在するメトロポリスを探訪するアドベンチャーゲームを、06年に日本でリリースされた『ファーレンハイト』では、本格的なサイキックミステリーをゲーム上で再現するなど、以前からゲームとしてのインタラクティブなストーリテリングの可能性を引き上げようと努力を続けてきたのです。
そんな同氏が今回は、「How Virtual Actions and Performance Capture can trigger Emotion in Games」と題し、これからのインタラクティブナラティブにおいて、パフォーマンスキャプチャが如何なる役割を果たすかについて、同社にて制作された技術デモの全容を披露しながら解説していきました。『ファーレンハイト』のチュートリアルでは、モーションキャプチャスタジオを丸ごと舞台にして操作方法を説明していたCage氏にとって、アクターの微妙な動作もキャプチャ出来るデバイスを如何に重視してきたかを感じることが出来ます。
現在『Call of Duty』シリーズなどは、2000万人に買われてはいるものの、ゲームは「まだメインストリームになりきれてはいない」とCage氏。その根拠として劇場用映画は、ヒットすれば6000万人に鑑賞される事実を上げています。たしかに、カジュアルやファミリー層、並びにハードコアゲーマーに対して訴求することでメインストリームを狙える可能性を示しつつも、Cage氏は、大人の「鑑賞」にも堪えうるような重厚なテーマの作品づくりもその可能性のひとつであると指摘します。そしてこれらのアクターの感情表現を完全に再現できる技術を駆使することで、インタラクティブで且つテーマの深い作品づくりに望みたいとして講義を締めくくりました。