セッションはとにかく沢山のビジュアルを見せながら進行しました。
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キャラクター絵の数々 |
まず紹介されたのがネイサン・ドレイクの衣装。本作では砂漠が舞台となり、ネイトの衣装も変化をしています。また、若い頃の姿も登場。こちらは衣装だけでなく態度も若さを表現する(ちょっと生意気そうな)ものとなっています。マーロウやエレナなどその他のキャラクターのデザインも繰り返し様々なパターンが試されたといいます。
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実際に砂漠に赴いて取材を行った |
Ruppel氏らはカリフォルニアにいるという利点を活かして(ノーティドッグはロサンゼルス郊外のサンタモニカに拠点を置く)、5時間かけて実際の砂漠に行き、ゲームの舞台を体験したそうです。実際に砂漠に赴くとイメージと異なり、砂は細やかに表情を変える一方、固く積み上がっていて足は1cm程度しか沈まないことが分かったそうです。また、そこに立った感覚は「40度くらいの気温で、熱風がまとわり付くように舞い、去った後でも口の中にザラザラした感覚が残ります」であり、そのイメージをゲームに残せるように腐心したとのこと。
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取材を基にした砂漠のデザイン | 様々なシーンが砂漠に展開 | 単にビジュアルだけでなくゲームプレイにも意味がある |
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ペイントオーバーを行う前 | ペイントオーバーを行った後 | モノクロも使った |
砂漠の建物は実際に砂漠に行った経験を活かしたものですが、単にビジュアルとして優れているだけではなく、作られた建物によってプレイヤーが進むべき方向を示唆するようなゲームデザインにも関わるものになっているとのこと。ビジュアル面ではペイントオーバーという手法を用いて、ディティールを追加したり削除したりすることでよりビジュアルを見やすく印象的に仕上げています。時にはモノクロを効果的に使う場合もあったとか。
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沢山登場するテントは色々な組み合わせができるように |
ゲーム中に多数登場するテントも、実際の考証に基づいて設計され、かつ多数登場するためバリエーションを作れる工夫がされているそうです。
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今回の舞台はロンドンから始まり世界各地に広がっていく |
今回の物語はイギリスはロンドンからスタート。太陽が照りつける砂漠と対照的な暗く鬱蒼とした街並みや、温かい家やパブなど。前作までのビクトリア調からゴシック調に切り替わったロンドンや、当初フランスのシャトーが舞台になる予定だったカルタヘナ(ゲームではコロンビア)、それにイエメンなど、Ruppel氏が述べたのは描き始める前段階の重要性で「リサーチや情報収集に半分近くの時間を当てています。事前の努力が有効に世界を描き上げる事に繋がります」とのこと。
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オブジェクトなど細かいデザインは多数ある。真ん中のレリーフは実際に採用されたのは下側 |
コンセプトアートは物語が決まる前に動き出すそうです。「我々は計画が決められた完璧な世界で仕事をしているわけではありません。当然、物語は詳細を詰めていく段階で変わっていってしまいますが、それに適応することが重要です」とRuppel氏は語ります。
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豪華客船も驚くほど精緻に描かれている | 船内のデザイン | おどろおどろしい雰囲気 |
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こちらも室内の様子 | ボールルームは70年代の雰囲気を参考に | ただし、寂れた雰囲気に |
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船に貼られるステッカーも雰囲気を与える重要なパーツ | 沢山作られている | 間取り図も作られている。「良い建築は、良い空間の使い方に表れる」 |
続いて紹介されたのは豪華客船の舞台。船は様々な効果を与えます。原案には船を解体するようなレベルも用意されていましたが、残念ながらカット。しかしモジュール化され、いずれ使われる日を待っているそうです。
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日中の空港を描いたアートワーク | こちらもパーツが現実味を与える |
船の次は空港。最初は日中の舞台のはずでした。しかしこちらは夜間のステージに変更になりました。
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僅かに光が差し込む地下の都市というアイデアなど様々なものが試された |
失われた地下都市という風な、タイトルにもなった「砂漠に眠るアトランティス」。ゲームの中心的な部分であり、色々なアイデアが作られたそう。地下に眠る都市、渓谷を切り開いて作られた都市、エジプトや中東の全盛期のイメージ、などがありましたが「どれも出発点は現実世界にあります。見たことのある世界をベースにしなければ、現実感を与えるのは難しいからです」。
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レベルに現実感を与える細かいパーツの数々。こうしたものが効果を見せる |
そのほか、建物やステージ内に存在する彫像や噴水などの多様なオブジェクトが紹介。これらは全てモジュール式となっていて、少し異なる物を量産できる仕組みに。こうした仕組みが巨大な世界を構築することを可能としています。
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様々なシーンを並べて色調のバランスを見る | 統一感を与えるのもアートディレクターの仕事であると | 例えば砂漠は全体に合わせて右のように変更した |
最後に紹介されたのは様々なシーンが一覧となった画面。これは、様々なシーンの間で統一感あるものになっているかどうかチェックするもの。Ruppel氏は「私の仕事はアートに統一感を与えること。アートディレクションは細部に神経を注ぐのは当然のこと、全体の調和、そしてそれがゲーム作りにマッチしているか担保することなのです。そのために我々は様々なアイデアを出し、それを修正するという繰り返しを行っているのです」とコメント。
非常に美しい世界でありながら圧倒的な物量感を与えるアンチャーテッドの世界。その世界は徹底した情報収集と、それに基づいたイテレーション(一定の過程の繰り返し)で実現されているというのがこのセッションからは分かります。30分という短い時間の中で本当に多くのアートワークを紹介。試行錯誤の積み重ねこそが良い世界の構築に繋がるということが感じられました。