
今回取り上げる「ゼクシィnet」は、結婚という大きな、そして(多くの人にとっては)一度しかないイベントを支援する情報サイトです。ゼクシィnetで行われている工夫は、多くのサービスにとってゲーミフィケーション導入のヒントになるのではないでしょうか。それでは、さっそく見ていきましょう。
【ゼクシィnetとは】株式会社リクルートが運営する、ブライダルに関する情報を提供する総合情報サイト。同サイト内でウエディングSNS『花嫁カフェ』のサービスも提供している。公式サイトはこちら:http://zexy.net/
■1.ゼクシィnetの特徴的な3つの機能
それでは、さっそくゼクシィnetの機能を見てみましょう。会員登録を行い、マイページ(ウエディングノートと名づけられています)へ移動してみます。

左側にはアバター、中央にはダンドリチェックという項目、右側にはチェックしたアイテムが表示されています。また、左下にはスケジュールが、右下にはウエディングロードという欄が設けられています。今回は「ウエディングロード」「ダンドリチェック」「アバター」について説明していきます。
・ウエディングロード

この欄では、結婚式までに決めるべき結婚式場や指輪、ドレスなどの項目が並んでいます。ユーザーがこれらの項目を決めると、この欄が画像で埋まっていきます。

このように、選んだアイテムの写真が表示されます。
・ダンドリチェック
ダンドリチェックとは、その名の通り結婚式までの段取りが網羅されたチェックリストのことです。ユーザーはこのリストに従ってタスクをこなしていくことで、
見落としなく結婚式・新生活の準備ができるようになっています。一例をあげると、

リストはプロポーズ・親への挨拶から始まっており、

もちろん、ドレスや会場の準備なども細かいステップに分けられて載っています。

当日の欄にはこのようなダンドリが。

結婚式後の新生活準備も細かくカバーされています。これらのダンドリをこなしていくと、マイページにあるゲージがたまっていき、準備完了まであとどれくらいかがわかるようになっています。また、次に何を行えばいいかということも同時に表示されます。

ちなみに、ダンドリは全部で200以上<あるようです。
・アバター

それぞれのユーザーにはアバターが設定されており、アイテムを選んで着せ替えを行うことができます。基本的なアイテムは初めから選ぶことができるようになっているのですが、指輪などの特定のジャンルのアイテムや、より豪華なアイテムはアンケートに答えることで初めて利用できるようになっています。
今回紹介した機能のほかにも、ゼクシィnetでは、気になるアイテムをクリップする機能や、スケジュール機能、結婚相手や親を巻き込んで利用する機能、結婚情報の交換や日記などの機能があるSNS「花嫁カフェ」などを提供しています。
■2.ゼクシィnetのゲーミフィケーション要素
ゲーミフィケーションの観点で見ると、ゼクシィnetは「可視化」という概念を非常にうまく使っているということがわかります。一番わかりやすいのは、「ダンドリチェック」でしょう。
ゼクシィnetでは、結婚という一生に一度の大イベントを、細かい準備段階に分けています(行動の可視化)。これにより、ユーザーは「次にやるべきこと」が常にわかるようになります(目標の提示)。そして、この目標を達成していくと、進行度メーターが進み、自分たちの位置が確認できるとともに、結婚に向けて前進しているという実感を得ることができます。(達成度の可視化=フィードバック)。
また、ウエディングロードも、可視化要素を使ったゲーミフィケーションの一種ということができます。こちらは、数値になっているわけではありませんが、決めなければいけないことが明確に見えており、この欄を埋めるということが目標になります。この欄が自分たちで選んだ素敵な結婚式アイテムで埋まっていくということ自体が楽しいため、埋めたことに対する報酬がなくとも十分に楽しむことができるというのがポイントです。
そのほか、アバターも結婚準備が進んでいることを実感させる効果があります。豪華なアイテムを入手するためのアンケートは、「式場決定に関するアンケート」など、実際に式場を決めるという行動をしないと回答できないものなので、結婚式の準備が進むにつれて、アバターもより豪華になっていき、ユーザーの気分を高めてくれます。
■3.ゼクシィnetがすばらしい理由
ゼクシィnetは、バッジやポイント、ランクなどの仕組みが使われているわけではありませんが、可視化のもたらす効果を活用することによって、結婚の準備をより楽しくさせることに成功しています。どうしてそのようなことが可能なのでしょうか?それは、ユーザーの目的に合致したサービスを提供しているという理由が大きいのではないか、と思います。つまり、ゼクシィのこれらのサービスがユーザーの求めているものをしっかり捕らえている、ということです。
ユーザーは結婚情報を得ようとこのサービスにアクセスするのですが、その根本には「結婚準備をスムーズに進めたい」「幸せな結婚をしたい」という目的があるはずです。上記で説明したサービスはどれも、この目的の達成を促すように設計されています。そのため、たとえバッジなどの分かりやすい報酬がなくても、ユーザーは結婚に向けて前進しているという実感や、幸せな結婚というイメージを感じることができます。このことが、ユーザーを動機付ける要因になっているといえます。
仮にゼクシィnetが、ユーザーの目的を考えず、結婚式場の資料請求や、ドレスの申し込みといった行動だけをゲーミフィケーションの対象にしていたらどうでしょうか?工夫次第ではユーザーに喜んでもらうことは不可能ではありませんが、ユーザーの目的を考えていない場合には、ユーザーを強くひきつけることは困難ですし、より多くの工夫が必要になるのではないかと思います。もちろん、バッジやランクを導入していないから良い、というわけではなく、上記のようなユーザーの目的に沿ったものであればバッジやランクといったものでも十分効果があります。ゼクシィnetでも、ダンドリチェックやアバターなどはまだまだ工夫の余地があり、そこにバッジやランクを導入することで今以上にうれしいサービスにすることは可能なはずです。
ゲーミフィケーションにおいては、どのようなテクニックを用いるかということだけでなく、その背後にあるユーザーの目的が重要になります。今回紹介したゼクシィnetはその良い例ではないでしょうか。また、テクニックとしても参考になる部分はあるのではないかと思います。
今回の記事はいかがだったでしょうか?
それでは、また次回の記事でお会いしましょう!