まず、チュートリアルをどこに設置するか?という点。ゲームプレイと完全に独立して存在しているケースと、ゲームプレイの一環として設置されているケースがあります。前者は比較的操作の複雑なアクションゲームなどによく見られるパターンで、家庭用ゲーム機で目にすることが多いです。格闘ゲームとかだと必殺技を出すための練習に使ったりする場合もありますね。ネイバー社の『LINE POP』もそのパターンです。下記のように、初回起動時に説明が8遷移あった上でゲームプレイが開始します。
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ソーシャルゲームやスマートフォンゲームでは後者が一般的かと思います(統計データが取れるほどリサーチできていませんので個人的所感ですが)。おおむね、ゲームを初めてプレイしてからしばらくは進め方や操作の仕方が指示的に進んで行く形をとっています。「次へ」を何度も押していくだけでゲームが進行していきます。典型例が下記のような感じですね。これは米ジンガ社の『Castleville』というゲームのチュートリアルをキャプチャーしたものです。
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これで終わりではなくまだまだ続きます。チュートリアルを終えるまで、クリック数としては10回以上は必要になります。この間、基本的にはプレイヤーは指示されるとおりに「Okay」をクリックするか、矢印で指定される対象(この場合はモンスター、アイテムなど)をクリックするかということだけが行えます。他のことはできないようになっています。
また、チュートリアルの途中にプレイヤーに入力を求めるケースもあります。
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こちらの例はスクウェア・エニックス社の『拡散性ミリオンアーサー』というゲームのやはり開始直後の流れをキャプチャーしたものです。これはチュートリアルの流れの中で名前入力を求めています。
ちなみに名前入力をどこでさせるかというのは色々なパターンがありますよね。上記の『Castleville』だとそもそも入力を必要としません。Facebook上でのゲームなので当たり前といえば当たり前ですが、キャラクターにあらかじめ名前が与えられているなど入力をさせないように作っている場合もあります。またゲームスタート直後に入力させるパターン(『ドラクエ1』がそうでしたね)もあれば、この『拡散性ミリオンアーサー』ようにゲームの序盤に「お前の名前は何だ?」などと進行に合わせて入力する場合もあります。どういうやり方がもっとも自然なのか、流れを邪魔しないのかということで様々な工夫が見られます。Webの会員登録もどの流れが最も自然なのかということについてはもっといろいろな工夫があっていいのではないでしょうか。
もう1つ例を挙げます。こちらはガンホー社の『ケリ姫スイーツ』というパズルゲーム。こちらは指の操作が入ってくるパターンですので、チュートリアルも操作方法を説明するという形になります。操作の入る直前の箇所で画面に被せる形で説明が挿入されているのがわかります。また、タップの箇所を迷わせないように押す場所を矢印で指定したり、他を押せなくしているという工夫も見られますね。新しい操作が1つ入るたびにこのような説明を入れることで、プレイしながらも途中で迷うことがないようにしています。
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また、『拡散性ミリオンアーサー』や『Castleville』で見られますがチュートリアルの途中で何かもらえることが多く見られます。『Castleville』の場合は国(!)がもらえてしまいました。カードバトル系のゲームではレアカード(と表現される事が多い)がまずもらえてしまうということも時折見かけます。プレイヤー心理としても何かを受け取るともうちょっと使ってみようかなという気になりますから、チュートリアル後の離脱を防ぐ意味で有効な手法だと思います。
こうしたことを分類してみると、チュートリアルの特徴として
・初回起動時にのみ登場する
・「次へ」を押していくだけで基本的には進行する
・10-20ステップの操作で終了する
・基本的な操作方法、遊び方、世界観などを理解してもらう役割を果たす
・ゲームプレイとは独立に存在する場合と、ゲームプレイと重ねて存在する場合がある
・チュートリアル終了時(あるいは途中)でアイテムなどを付与する
・ユーザ入力を求めることがある
・チュートリアル進行に無関係な操作はできないようになっている事が多い
というようなところが挙げられます。
チュートリアルの有無で離脱率が実際どの程度変わるのかということについて、もしご存じの方がいれば是非教えて欲しいのですが、ほぼ全てのソーシャルゲームにこれが存在していることを考えると有効性は実証されているといっていいと思います。
Webでもこういう要素があると初回来訪者の離脱を防げると思いますが、残念ながらほぼ見たことがありません。ゲーミフィケーションにおいてはチュートリアルはいわゆるオンボーディング施策に相当しますが、それだけでも導入する意義はWebサイトにとってあるでしょう。是非読者の皆さんも実践にトライしてみて下さい!