■参加者
氏家政彰 ディレクター。本作の企画運営を担当。KPIをチェックしながら、エンジニア・アーティストと共に新規企画や施策を立案し、実装を行っている。
仲江謙仁 リードエンジニア。同社の全タイトルでプラットフォームやインフラなどを統括する「セントラルチーム」でリーダーを務める。
上山慶恵 アートディレクター。リードアーティストとしてグラフィックチームの品質管理なども務める。グラフィックまわり全般を担当。
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―――今日はよろしくお願いします。はじめにゲームの概要について教えてください。
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―――ソーシャルゲームの初期からヒットしているタイトルですが、ずばりロングランの秘訣は何でしょうか?
氏家: そうですね、早くからリリースしていたので、多くのお客様を獲得できたことと、常にお客様からのフィードバックを元に見た目や機能の改善を続けているので、飽きずに遊んでいただけているのではないでしょうか?
―――開発体制について教えてください。
氏家: 時期によって大小がありますが、全部で10名から20名くらいで進めています。サービスを続けながら改善を繰り返していくので、定量的に回していく部分と、新機能やイベントなどを企画・実装していく部分を並行して進めていく感じですね。
―――さまざまなプラットフォームで進められていますね。
氏家: もともと企画には自信がありましたし、できるだけ多くのお客様に遊んでいただきたいと思っています。ただ見た目は同じでも、バランス調整などはプラットフォームごとに変えているんですよ。リリースして何年も経っているプラットフォームと、3ヶ月くらいのプラットフォームでは、ユーザーの熟成度も違いますしね。
―――ユーザーの属性を教えてください。
氏家: フィーチャーフォンのお客様が多いのは事実ですが、世の中の流れにあわせて、スマートフォンのユーザーも急上昇しています。弊社でも今後はスマートフォンのネイティブアプリに注力していくつもりです。性別的には6:4で女性が多いですね。最初はもっと女性に偏るのかと思っていましたが、男性にも多く楽しんでいただけているようで、そこが強みであったりもしますね。
―――性別の違いは意識しますか?
氏家: デコレーションやアイテムなどで、男性だけ・女性だけを狙いすぎないように、バランスをとるようにしています。女性だけよりも、男性ユーザーが適度にいる方が、コミュニケーションの面でも幅が広がるようですね。
上山: かわいいものが好きな男性も多いようで、動物をはじめ、広く可愛らしいものをモチーフに取り入れるようにしています。メインインターフェースもピンクだと女性だけになってしまうし、ブルーは好みが分かれるので、オレンジやイエローをベースにしています。全体的に丸っこく、柔らかい感じで、癒やし系のグラフィックになるように注意しています。
―――イベントはどのように作られるのでしょうか?
氏家: プロダクトの責任者を中心に、チームで相談しながら企画しています。平均して毎月1回は何かしらの機能改善を行っていますね。リリース当初は1-2週間で改修を繰り返していましたが、最近はプレーヤーの数も増えて、高い品質を求められるようになってきたので、大きな改修を実施する場合は1-2ヶ月くらいの期間を確保することが多いですね。企画を練り込んでバランスを調節し、しっかりテストをした上で慎重に進めています。また、似たようなイベントを繰り返すのではなく、改善点や新規要素も加えて、新規性を出すようにしています。
―――「牛角」「ローソン」など、さまざまな企業とのタイアップ(OtoO)展開も進められています。
氏家: タイアップしている店舗で指定のメニューを頼んだらゲームアイテムのシリアルコードが記載されたカードがもらえる、というのが代表的な例ですね。一番の目的は自社タイトルの宣伝ですが、ユーザーとっても話題提供につながります。「あの料理食べたよ」「美味しかった」「また行きたいな」など、料理に関する共通の話題があるかないかで、コミュニケーションも広がりますから。運営としても、そうした話題を継続的に提供していくことが大事だと考えています。
―――可能性を感じますか?
氏家: そうですね。全国チェーンで展開する場合など反響も大きいですし、もっといろんな企業様とコラボしたいですね。実際、想像以上に反響が大きくて、驚いたこともあるんですよ。 ゲームのアイテムだと課金単位は数百円が中心じゃないですか。それがホテルのレストランで、数千円のメニューなのに、タイアップ効果によって予約が殺到したこともあります。ゲーム内でも「美味しかった」という話でプレーヤー同士もりあがったりして。
―――ゲームと現実とのコラボですね。
氏家: それまでは正直、たかがゲームだと思っていたところもありました。それが、思ったよりゲームってパワーがあるなと。自分たちが工夫することで、もっとリアルな販売や消費につなげていける、そんな手応えを感じています。多くの方々に、もっと喜んでいただけるよな形に昇華していきたいですね。
―――気が早い話ですが『3』の予定はありますか?
氏家: 改善を続けて、気がついたら『3』になっている、くらいのほうが現実的かなと思うんですよ。『1』から『2』の時は、新しいプラットフォームがどんどん立ち上がっていった時期で、新タイトルにもお客様がついてきてくれました。今はタイトル間の競争も激しいので、新タイトルを立ち上げるというよりは、現在楽しんでいただいているプレーヤーの満足度をより高めていくことが大事かなと考えています。もっとも、業界の動きがすごく速いので、今後何があるかわかりませんが(笑)。
―――バージョンアップのポイントはなんですか?
氏家: サービスを通して、プレーヤー同士のコミュニケーションや、ソーシャルアクションの重要性に改めて気がつきました。そこを盛り上げたり、楽しい体験を提供することに注力しています。もっと遊び続けたいな、と思ってもらえるように努力したいですね。
■見た目に綺麗でかわいらしい料理をデザインするコツとは?
―――最初に料理のテーマが選べますが、何が人気ですか?
氏家: 洋食系かカフェが人気ですね。昔は中華なども入っていたんですが、人気が低かったので、かわりにカフェを入れた経緯があります。「レストラン」というイメージとして、洋食系かカフェみたいな、かわいい系が人気なのかなと。また中華はどうしても料理が茶色っぽくなる点もありました。 見た目のかわいさは非常に重要で、アイテムに対する愛着や、欲しいと思ってもらえるかで、プレーヤーのアクティブ度合いが大きく変わります。
―――グラフィックは何名くらいですか?
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―――料理が1000種類以上あるのには驚かされます。
氏家: 実際、毎月のように新しいメニューを作っています。
上山: 次第にネタ切れにもなるので、いかに発想を変えるかが大変ですね。ゲームを作っていて、世界中の料理に詳しくなりました。
―――四季によってグラフィックが変わったりしますか?
上山: メインUIは同じですが、ガチャやイベントなどの素材だったり、料理の種類などで季節感を出しています。
―――みんなで食事に行くこともありますか?
氏家: けっこう頻繁に食事に行っていますね。他のチームをさそったりすることもあります。恵比寿には美味しいお店も多いので。
上山: すごく素敵なレイアウトのお店に入った時は、写真を撮って参考にしたりもします。
―――気を付けていたり、こだわっている点は?
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氏家: 昔は煮込み料理など、あまり見栄えしない料理もありましたね。当時はこれでいいと思っていましたが、だんだん運営していくうちに、かわいいモチーフや彩りが綺麗な料理がこのまれることがわかってきました。
上山: 最近特に派手になってきて、データを作るのが大変になっているんですよ。
■クラウドサーバーを利用しながら省力化を推進
―――インフラの人数はどれくらいですか?
仲江: セントラルチーム全体で10人くらいです。そのうちアプリのインフラ業務に携わっているのは2-3名ですね。
―――サーバーにGMOアプリクラウドを選択されていますね。
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―――クラウド化の恩恵は感じられましたか?
仲江: すべてクラウドにしたわけではなくて、データベースなど、ディスクI/Oを頻繁にもとめられるものは物理サーバーでやっています。またFusion-io ioDrive Duoを搭載したサーバーも用意してもらっています。それ以外で、特にWebサーバーをはじめ、台数が必要な部分をクラウドに切り替えました。やはりイベントなどで、アクセス数の急激な増減にあわせて自由に調整できるのが、クラウドの魅力ですね。
―――数あるクラウドサービスの中から、GMOアプリクラウドを選ばれた理由は?
仲江: コストパフォーマンスが高かったことと、カスタマイズの自由度が高かったことですね。ベンチマークテストを行った結果、他社のサービスよりも高いスコアが出ました。おかげでサーバー数の圧縮がかなり進みましたよ。また「CPUは高速なものが欲しいが、メモリやハードディスクはそこそこで良い」といった、弊社の要望にあわせてメニューをカスタマイズいただけたことも大きかったです。実際、デフォルトのメニューのままでは採用しなかったかもしれません。
―――GMOアプリクラウドのサポートはいかがですか?
仲江: サポートメールに要望を書くと、速いときは数十分で対応されていたり、長くてもその日のうちにやってくれますので、助かっていますね。
―――セントラルチームの今まで取り組んできたことについて教えてください。
仲江: キーワードは「省力化」です。他のタイトルもあわせると、かなりのサーバー台数になっています。これを3人で保守運営できる体制を作り上げてきました。今セントラルチームでなくても、担当のアプリエンジニアがサービスを止めることなく、簡単・安全・迅速にオペレーションできるように、デプロイ基盤が整備されています。
―――最後にそれぞれの立場で、今後の目標について教えてください。
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上山: レストラン系のソーシャルゲームの中でも、グラフィックには自信がありますので、もっと多くの人に知ってもらいたいですね。もっと多くの人を喜ばせるようなことをやっていきたいです。
仲江: アプリ側のインフラ基盤はかなり整備されてきたので、今は分析基盤の構築にとりかかっています。行動ログなどを大量に取っているので、これをすばやく解析するためのシステム作りですね。業界全体のトレンドでもあり、データウェアハウス系サービスの価格低下も進んでいるので、これらをうまく使って整備していきたいです。
―――ありがとうございました。
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