冒頭に挨拶に立った里見治紀社長兼CEOは、セガネットワークスは順調な成長を遂げているとしながらも「期待の新作がどれも来期に延期してしまい残念な一年になってしまった」と反省の弁から入ります。しかし新作が無い間も同社は大幅な体制強化を進め、現在ではセガサミーグループでスマートフォン事業に携わる人員は600人規模にまで拡大しているそうです。
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その後、上席執行役員 事業本部長の岩城農氏が具体的な事業戦略について説明。まずスマートフォン市場を俯瞰しながら、過去のゲーム市場がそうであったように一層のハイエンド化は不可避で、開発予算、チーム規模ともに「(拡大していると言われる今でも)まだ小規模の段階にある」との認識を示しました。同氏は昨年の最も予算規模(リリースまで)が大きかったスマホゲームを約5億円と推測しているそうですが、この数字も序の口だと言うわけです。
そして、ハイエンド化の流れを制するべく、セガネットワークスとしては設立以来のテーマである「コンソールクオリティのスマホゲーム」という目標をより推進していくとしました。
また、長期的なハイエンド化というトレンドだけでなく、直近の短期トレンドとしては「マルチプレイ」「アクション性」「IP/世界観」という3つのトレンドがあるとして、直近ではこれらに合致した作品を投入していくとしました。
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■f4samuraiが開発する正統派RPG『オルタンシア・サーガ』
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『オルタンシア・サーガ -蒼の騎士団-』はセガネットワークスが出資し、『アンジュ・ヴィエルジュ』や『ボーダーブレイク』を開発してきたf4samuraiによる正統派RPGです。
登壇した斉藤誠記プロデューサーは「運命に翻弄された士たちの物語を描いた壮大なストーリーを楽しんで欲しい」と挨拶。世界観には力を注ぎ、主人公を始めとするキャラクターは細谷佳正、堀江由衣、津田健次郎、子安武人、上田麗奈、柿原徹也といった豪華声優陣が声を当てます。
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またRPGということで、最も力を入れたというバトルシステムは「アクティブ・レーンバトル」と呼ばれ、アクティブタイムバトル(ATB)をベースに、戦闘準備が整ったキャラクターを任意のタイミングで画面上部のレーンに移動し、レーンでの並び順で各キャラクターが行動を行っていくという仕組み。その組み合わせやレーン上にランダムに登場するパワーアップアイテムなどを上手く目当てのキャラクターに繋げる事で戦略性を生み出しています。
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現在はバランスを調整している段階で、今春のサービス開始を予定しているとのこと。
■世界最速を目指す『ソニックランナーズ』
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セガが誇るソニックの新作ゲームが登場です。ソニックチームでソニックシリーズを長年手掛けてきた飯塚隆プロデューサーが紹介したのは『ソニックランナーズ』。ソニックの原点である走りを思う存分、満喫できるゲームの誕生です。
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飯塚氏はソニックチームがスマートフォンの創世記から積極的にゲームを提供してきた事を振り返りながら、「その頃からずっとやりたいと思っていた、スマートフォンに特化したソニックを遂に出せる事になった」と説明。
『ソニックランナーズ』はタップだけでソニックのランニングアクションが楽しめるゲーム。気軽な操作と、走る心地よさを両立したゲームです。シリーズの歴代キャラクターが登場し、それぞれ属性の異なる走りが楽しめるとのこと。お供にキャラクターを連れて行くこともでき、その選択もゲームを左右します。
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ネットワークでのランキングも本作の特徴で、「ソニックレコード」と呼ばれる自分のベストスコアを世界中のユーザーと競う事が出来ます。様々なランキングが用意されていて、世界や友達の間で毎週のリーグに参加できます。
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リリースは「暖かくなる前に」とのこと。まずは日本先行で、時間をあけず世界展開される計画。
■異色のメディアミックス『ケイオスドラゴン』
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本日最後の新作は星海社、東宝アニメーション、セガネットワークスというタッグでメディアミックス展開される『ケイオスドラゴン 混沌戦争』です。元々はテーブルトークRPGのセッションから生まれた「レッドドラゴン」という原案からスタートし、セガネットワークスがゲーム、東宝アニメーションがアニメ、星海社がボードゲームとして展開します。
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ゲームは『チェインクロニクル』を彷彿とさせる画面で、他のゲームにはないフリックアクションバトルで、国家の戦乱を描いた大規模戦争が楽しめるものとなっているとのこと。ボードゲームとの連携もあるようです。
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ヒットした作品をメディアミックスするのではなく、「レッドドラゴン」という原案の元に様々な才能が集まり、それぞれの展開を進めていくという変わった形の展開となります。星海社の太田克史副社長COOは「当初は個別に進めていたプロジェクトだったが、タッグを組めばもっと面白いものが出来ると考えた」と説明しました。
大田氏は「ゲームのセガさん、映画の東宝さん、凄く大きな才能か集まるスタジアムを作ろうという意気込みで進めています。いい試合を見せますので、観客としてこのプロジェクトを盛り上げていって貰いたいと思います」とコメント。
東宝で映像企画室室長を務める古澤佳寛氏は「東宝がテレビアニメーションに本格参入して3年ほどが経ちました。その間、足掛け3年、このプロジェクトを進めてきました。3つの意欲的な作品を楽しみにしていてください」と話しました。
最後にセガネットワークスの秋山隆利チーフプロデューサーは「これほど才能の溢れる人たちと尖ったことをやるので面白くないわけがないと思っています。ゲームもちゃんと丁寧に楽しいものを作っていきます」と述べました。
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■海外市場には異なる原則をもって挑む
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発表会の最後は再び岩城氏が登壇し、海外市場における戦略が語られました。
まず岩城氏は市場認識として、コンソール時代のように圧倒的に大きな欧米市場という位置付けは変わり、アジアの存在が大きくなっていると話しました。市場規模ではアジアが1兆円に対して、欧米も1兆円と規模は同等で、かつ成長余地では東南アジア、南米、EMEA(欧州・中東・アフリカ)が大きいとしました。
そして、アジアは日本のゲームに対して親和性が高いものの、欧米では異なり、徹底したカルチャライズが必要だとしました。また、独自の市場には独立した戦略が必要であり、それを実行する為には独立した経営体制が求められるとしました。
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セガネットワークスでは既に米国サンフランシスコで現地法人Sega Networks Inc.を立ち上げ事業を進めていますが、ゲーム開発や運用の体制も整えていきたいとしました。これまではサンフランシスコにThree Rings、英国にHardlightという開発スタジオを持ち、約70名の開発スタッフを抱えていますが、これを大幅に拡充してパイプラインを3倍にすると岩城氏は述べました。
具体的には米国ボストンのdemiurge(『Marvel Puzzle Quest』などを開発)を100%子会社化。サンフランシスコで2014年12月に設立されたばかりのIgnited Artistsと、英国のSpace Apeの一部株式を取得しました。Ignited ArtistsはPCオンラインやコンシューマー出身者によって設立された会社。Space Apeは『サムライ合戦』で実績のある会社です。これらの会社にはステージに応じた支援を行いながら、Theree RingsやHardlightでも積極的に人材採用を行い拡大していくとのこと。
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国内ではNoah Passという1億人規模のネットワークを持つセガネットワークスですが、海外でもスマートフォンの『ソニック』シリーズは累計で1億件以上のダウンロード数があり、このユーザー基盤を活用して、日本タイトルのカルチャライズ作品や現地開発タイトルを強力に展開していくとのこと。
セガと合併して新生セガゲームスとなる予定のセガネットワークスですが、現状の約600人という体制を更に大幅に積み増して、スマホゲーム市場でグローバルトップスリーを目指す考え。今後の展開が楽しみです。