IaaS市場が順調に伸びる一方で、外資系を中心に各社の攻勢も凄まじいデータセンター市場。梶本氏は、既に事業者の淘汰が始まっているとして、国内大手の地位にある同社も危機感を感じていると言います。勝ち残るため、サービス提供の継続性はもちろんのこと、スケールメリットの追求やユーザーファーストによる開発を進めていくとしました。
スケールメリットという点で、新たに立ち上がった北九州に立地する西日本リージョンは重要です。これまで同社では首都圏、白河(福島県)、関西、北九州の4地域にデータセンターを設け、白河で東日本リージョンを展開していましたが、立地的に大きく離れた北九州に西日本リージョンが置かれることで、災害等の不足の事態への対応も強化されます。首都圏から関西にかけては常に地震の危険性がある一方、北九州は地震の危険性は少ない地域とされています。新たな拠点の開設でサーバーの収容台数は最大60万台にまで拡大。これを支えるバックボーンも2016年までに現在の510Gbpsから1000Gbpsへと拡張するとのこと。
ユーザーファーストという観点では、西日本リージョンでオールフラッシュストレージを採用した「IDCFクラウド」の提供を開始。これは日本で初めてEMCのXtremIOを採用。これまでと比べて2~40倍の性能を出すことができるとのこと。特にゲームや広告配信のような超高速でのI/Oが求められる分野では重宝されると思われます。

ユーザー数が急増しているという「IDCFクラウド」。月額500円からの利用が可能。
しかもこのオールフラッシュストレージの入った「IDCFクラウド」は何と月額500円からの利用が可能。梶本氏は「かなり戦略的な価格」と話しました。企業ユースでは知名度が高いという同社ですが、個人レベルでの利用はまだまだ少ないのが現状。2014年からクラウドサービスを「IDCFクラウド」と衣替えして、誰でもオンラインで申し込みから利用開始まで出来るような体制を整えたことで、アカウント数は急増しているそうですが、これを201X年までに10万アカウントまで引き上げたいとしています。
「IDCFクラウド」は社内で開発が行われていて、月約100件近い機能改善が行われているといいます。アップデートもほぼ毎週です。ワンコインから利用でき、監視、メール配信、プッシュ通知のような付加機能も利用できるクラウドとして、個人での利用も促進。プロの開発者の個人ユースでの利用を開拓し、結果として企業での大規模な利用も拡大していきたい戦略です。