ブースには約3x3メートル四方の空間が作られていて、Oculus Riftを被り、その映像を体験することができました。用意されていた映像は、中国とベトナム国境付近にある徳天瀑布という巨大な瀧と、アメフトスタジアムという2種類。確かに映像なのですが、スタッフに促されて歩くと、確かに歩き回れます。スタジアムに置かれている色々なオブジェクトに近づくと迫って見えるのは当然、下から覗き込んだり、その後ろ側に回っても確かに欠ける事なく見え、驚きでした。もちろん、3Dでレンダリングされたものではなく、撮影された映像だと言います。
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同社が「Volumetric 360 Video」と呼び特許を出願しているこの技術はStereoScopyNewsによれば、高精細で撮られた映像に深度情報を付加したものだということです。映像は14台のRed Dragonで撮られた6K・60fpsの映像で、これにVelodyne社のLiDARスキャナーを使って70万ポイントの3D深度情報を毎秒付加し(これだけで秒間100MBにもなるそう)、これを展開して映像としているそうです。
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一方でRoad to VRによれば、依然として定点で撮影しているのは変わらないため、オブジェクトの裏側は映らず、手動で作成するなどのケアが必要だとのこと。また、映像は最終的には3D空間にレンダリングされますが、作成には1フレームあたり6分間の処理時間を現在のところ有していて、容量も30秒で約2GBになるなど膨大だということです(それでも大幅に削減されてはいるようです)。
ちなみにLiDARスキャナーは光を使ったスキャニング技術で、Velodyne社のものでは100m四方をスキャンすることができるとのこと。人間にとって有害ではないので、様々なシチュエーションが撮影でき、応用範囲は広そうです。
360度のVR映像は没入感がある一方で、やはり自分が固定されるという点では、どうしても現実世界とは異なるものとして客観的に見てしまうケースがあります。この「Volumetric 360 Video」の手法はよりインタラクティブなVR映像の制作手法として注目されそうです。