同社は、予測の根拠として以下の事情を挙げています。
◆AIにはデータが必要
AIの開発において、データ量は多いほど一般的には良い結果をもたらします。アジアは世界でもっとも人口が多い地域で、様々なデジタルツールがもっとも普及した地域でもあります。同社はWindows、Office、LinkedIn、Bing、Cortanaなどを活用することで、ニーズを予期・対応できるAIツールの開発に大量のデータを転用できると考えています。
またAI開発に付きまとうプライバシー等の倫理的問題について、同社は6つの倫理基準(公平性、信頼性と安全性、プライバシーとセキュリティ、ダイバーシティ、透明性、説明責任)を軸にAIの学術的な開発・活用を支援するとしました。
◆人材面の優位
人材確保の面でもアジアは中枢になりつつあり、同社は2018年がAI活用にとって重要な年になると予測していますが、プログラムの開発は未だに長大な期間を要し、多くの人材が必要です。STME(科学、テクノロジ、工学、数学)分野の人材において、UBSの分析では、2025年までに中国とインドの適正人材の合計が米国を凌ぐと予想しています。
同社は20年前にMicrosoft Research Asiaを北京に設立した頃より、人材確保の重要性を認識しており、現在では同支社は米国外では同社最大の研究開発機関です。またMicrosoft Research Indiaをバンガロールにも開設しており、業界を先導する研究成果を上げています。
◆AI には活用が必要
アジアがAI開発の中心地となり得る理由として、デジタルネイティブ人口の多さが挙げられます。国連は、物心がつく頃にはインターネットなどが一般的だった環境で育った世代の60%が、アジア太平洋地域に居住していると発表しました。これらの人々は生活向上のために積極的にデジタルテクノロジーを利用します。AIの発展には、実際に活用されることも大きく寄与します。
また調査会社IDCは、2019年までにAIが、アジアにおけるデジタルトランスフォーメーションの4割をサポートすると予測しています。
◆アジアにおけるマイクロソフトのAI関連投資状況
また、マイクロソフトはアジアにおけるAI関連投資に大きく期待しており、既に大規模な投資が行われています。
台湾のテクノロジーと産業分野を支援するための、マイクロソフトと台湾政府が共同で行った、台湾AI研究開発ハブのへの3,300万ドルの投資はその一つです。また、アジアのスタートアップ企業との共同販売体制をとり、2018年から2年にわたる5億ドルの投資も発表されています。