シーンを通じて選手たちが紡ぐストーリーを楽しんでほしい
――来場者を招いての2日目(7月29日)は、台風一過で何よりでした。
Che Chou大きな台風が来ているというのはニュースを見て知っていた。会場(原宿クエストホール)のインターネット回線は無事だろうか?来場者のみんなの安全性は確保できるだろうか?などと不安はあったけど、無事に開催できてホッとしているよ。
日本で『ハースストーン』のe-Sportsプログラムを走らせられるのは、とても重要なことだと思っている。日本のコミュニティは、いつもとても協力的で、そして日本のプレイヤーたちは、必ずといっていいほど大舞台に勝ち上がってくるという状況がずっと続いていて、成長が著しい。こちらとしても、サポートにより力を入れて、日本のみんなと、もっともっと一緒にやっていきたいと思っているよ。
――準々決勝が終わり、ノルウェーのhunterace選手、台湾のAlan8708806選手、そして日本のMachamp選手とhinaya選手の4名による準決勝が始まりました。注目している選手はいますか?
Che Chouもちろん、全選手にがんばってほしいと思っているよ。付け加えるなら、(特定の選手というよりは)このシーンを通じてどのようなストーリーが紡がれていくかに興味を持っている。アメリカのmuzzy選手やdog選手ら有力選手が敗退する一方で、hunterace選手は今大会で準決勝に進出したことで、世界で初めて、それもたった2シーズンで『ハースストーン』マスターズプログラムのランクを手にできた。「この日に見られるかもしれない」と期待していた展開が目の前で実現して、興奮している。
――8月18日から開催される「アジア競技大会」でも、『ハースストーン』が種目のひとつとして名を連ねています。『ハースストーン』が選出されたことについてどう感じられますか?
Che Chouこういった大会の種目に選ばれることで『ハースストーン』が新たなステージに進めるというのは、Blizzard Entertainmentとしてとても喜ばしいことだ。「アジア競技大会」はアジア方面に住むプレイヤーたちにとって大きなチャンスになると思うので、こちらとしてもできるかぎりのサポートをしたい。できれば、ジャカルタにも足を運べればと思っている。
自分にとっての原点は『バーチャファイター2』
――日本のe-Sportsシーンを見て、どのように感じられますか?
Che Chou国によってさまざまなルールやポリシーがあるから、私たちがしていることをどこでもそのまま同じように行うのは難しい、というのはもちろん理解している。でも、日本にはe-Sportsがもっと盛り上がる土壌がしっかりあると思っているよ。
1990年代、まだ大学生だった私は『バーチャファイター2』を夢中でプレイしていた。当時、日本の新宿には「新宿ジャッキー」をはじめとする、有名な強豪プレイヤーたちがひしめいていただろう?まだYouTubeもない時代、私は手をつくして手ブレだらけのビデオ映像を入手して、彼らと、彼らの戦いぶりに魅せられていた。
――自分も当時夢中になっていて、ゲームセンターで新宿ジャッキー氏に対戦でボロ負けした記憶があります。
Che Chou(笑)。日本はあのころすでに「どこそこのゲームセンターに行って誰それを見にいく、対戦しにいく」という文化があったよね。私もそうしたシーンを夢中で追っていて、ふと思ったんだ。「これはまるでスポーツみたいだ」とね。『バーチャファイター2』が、私にとってのe-Sportsの原点であるとも言える。
――今もプライベートでe-Sportsの観戦をされたりはしますか?
Che Chou今一番気になっているのは、弊社タイトル『オーバーウォッチ』の「Overwatch League」だ。フィジカルなスポーツが持つ市場やマーケットと同じ構造を構築しにいっているので、これがどうなるかで、今後のe-Sportsシーンに多大なインパクトを与えるのではないかと思っている。
あと、格闘ゲームは今も大好きだよ。次の週末には「EVO 2018」がひかえているし、プライベートでは、SNKの格闘ゲームが好きでね。最近はニンテンドースイッチの「アケアカNEOGEO」シリーズで遊んだりもしているよ。
――Che Chouさんにとってe-Sportsとはどのようなものなのでしょうか。
Che Chouトーナメントなどのシステムがあって、それを取り仕切るプロダクションによって、大会や試合が放送・配信されて。視聴者はそれを見ることで、試合そのものや、試合を通して選手たちが紡いでいくストーリーを追って楽しめる……という「興行的な楽しみ方ができるもの」……というのがひとつ。
そして見方を変えれば「ゲームに新たな楽しみ方や魅力を付加できるもの」でもある。「『ハースストーン』にとって正しいe-Sportsの形とは何なのか?」というのはいつも考えているよ。誰でも気軽に参加できる垣根の広い大会を開催して、それに勝ち続ければ世界選手権への道すら開ける――『ハースストーン』を楽しんでくれているみんなにそういう可能性を提供できるのが、(現時点でのこのタイトルにとって)正しい形なのかなと思っている。
――ありがとうございました。
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