4月10日から24日、アイスランド・レイキャビクにて開催中の『VALORANT』国際大会「2022 VALORANT Champions Tour Stage 1 ― Masters Reykjavík」。日本代表チーム「ZETA DIVISION」は、Laz選手の「まずは一勝」という現実的な目標を遥かに超え、プレイオフまで駒を進めました。
プレイオフ初戦はEMEA代表「G2 Esports」を相手に、結果的にマップスコア2-0で敗北を喫するものの、特にバインドはラウンドスコア13-10と拮抗したシーソーゲームを展開し、善戦と言える戦いを繰り広げました。
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今回編集部はG2 Esports戦直後に、ZETA DIVISIONのリーダー・Laz選手と、Dep選手へインタビューを実施。本稿ではその模様をお届けします!
※本インタビューは両選手へ個別インタビューを1つの記事に編集して掲載しています。
ーーまずは試合お疲れ様でした。G2 Esports戦を終えて、率直な感想をお願いします。
Laz選手 めちゃくちゃ強かったです。細かい部分、基礎的なところがしっかりしていて、そういう部分でもっていかれた感覚はあります。
5-3とか4-2で人数有利を取っても、(G2側が)そこから丁寧に組み立てて戦ってきて、一人ずつ倒されてしまうなど、そこはこちらのミスでもあるんですが、そういう場面がとても強かったです。
Dep選手 勝てそうだったから悔しいですね。
ーーそうですよね、プレイしていも「イケる!」という気持ちはあったのでしょうか。
Dep選手 そういうことはあまり考えないようにしていて、1ラウンド1ラウンド丁寧に重ねていきました。
ーー試合中のボイスチャットの雰囲気はいかがでしたか?
Dep選手 今日もいい感じで、みんなうまいことやれていたと思います。
Laz選手 みんな「絶対勝って行こう」という感じでした。グループステージのFNATIC戦などよりは、緊張感はだいぶ和らいで、プレイしやすかったです。
ただ、連戦で昨日もあまり寝られないまま、今日も朝早く起きて集合だったので、パフォーマンスは発揮できたとは言い難いし、疲れていましたね。
ーー3日連続ですからね...…。
Laz選手 結構フラストレーションがたまるところはあります。
Dep選手 プレイ自体はそこまで悪くなかったんですが、寝不足で流石にきつかったですね。
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ーー昨日のNinjas in Pyjamas(NIP)戦の後、チームでなにかお話する時間はありましたか?
Laz選手 (スケジュールの都合上)全然なかったですね。昨日の試合も見直せてないので、振り返りなどで何かを吸収することも全くできませんでした。
パフォーマンスは発揮できないし、疲れもあるし、(試合を見返して)自分たちが本来吸収できる部分をできていないことについては、繰り返しになりますけど正直かなりフラストレーションが溜まりますね。
ーー2マップとも、序盤は拮抗していた印象を持ちました。スプリットでは最終的にラウンド差を離されてしまいましたが、どのような点が敗因だったのでしょうか?
Laz選手 試合を見直さないとわからない部分もありますが、少人数戦や、人数有利を取った大事なラウンドを落としてしまい、クレジットが苦しくなっていったという点ですね。もちろんG2の対応力も僕らを上回っていたと思います。
Dep選手 スキルを使い終わったあとの3v3の射線の通し方など、細かい部分の差が結果に繋がっているのだと思います。
ーーそれはポジショニングやコミュニケーション面などでの問題でしょうか?
Dep選手 ポジショニングですね。コミュニケーションエラーなどは特にありませんでした。
ーースプリットでの攻撃時、オペレーターをかなり警戒していましたが、事前情報などはあったのでしょうか?
Laz選手 そうですね、Mixwell選手がチェンバーで使うオペレーターがめちゃくちゃ上手くて、これにピックされるのだけは避けようとケアし、丁寧に丁寧に組み立てていました。こういった作戦というか、戦い方は丁寧にできたと思っています。
ーーバインドの1stラウンドではバリアオーブを用いた前がかりな戦術が見られましたが、暖めていた戦術のひとつですか?
Laz選手 そうですね、うちの戦い方のひとつです。
Dep選手 後手後手でやっているとやられちゃうんで、先手でどんどん行きましょうって感じでしたね。
ーーLaz選手は大会前に「まずは一勝」という目標を強調されていました。今ではかなり先のプレイオフという場面で戦っているわけですが、心境はいかがでしょうか。
Laz選手 そうですね、昨日(NIP戦が)終わったタイミングでは「夢みたいだな」と感じていたんですが、今日はこの試合に勝つことだけ考えていました。
当初の目標「まずは一勝」というのは、世界の壁に並ぶというか、世界で戦えるだけの実力をつけることをずっと探し、追い求めてきたものだったので、まずひとつ突破できて良かったと思っています。グループステージを抜けてプレイオフまで来ましたが、「まずは一勝」したことがとても大きくて、これを乗り越えたらあとは進むだけです。
ーー新たなロースターで初の世界大会へ出場して、G2戦に限らず「この5人のZETA DIVISION」の強みはどのような部分で感じていますか?
Laz選手 日本で各ロールの一番強いプレイヤーが集まっただけでなく、サポートのcrowやフレックスのTENNNなど、皆それぞれの役割をしっかりとこなせる、その役割分担が強みのひとつだと思っています。G2戦では上手くいってなかったのですが、少人数戦でも自信がありますし、「丁寧にやろう」などの声掛けや、咄嗟の判断もすごく良いですね。
Dep選手 やれることの幅がめっちゃ広いチームなので、やろうと思えばなんでもできちゃうところが強みだと思います。戦術の手札もそうですし、試合中の対応なんかもそうです。
ーー世界大会において(現段階で)少なくとも5回のBO3を経験するわけですが、これがチームにとってどのような影響をもたらすと考えていますか?
Laz選手 もうとんでもない収穫で、今までで一番価値のある時間だと思っています。
Dep選手 (持ち帰れるものが)めちゃめちゃありますね。日本は撃ち合いが弱いなど言われてたんですが、「あまり世界との差は感じないな」といった、気持ちの持ちようなども大きいですね。
ーーバインドではDep選手のかなり強気なポジショニングなどが光っていましたが、スプリットから心境の変化などがあったのでしょうか?
Dep選手 (心境の変化)というよりも、スプリットよりもバインドのほうが動きやすいのでそう見えたのかもしれないです。
ーー2マップともエコラウンドを取り合うような場面が多く見られましたが、どう受け止めていますか?
Dep選手 出場しているどの選手も感じていると思うんですが、オフラインではシェリフがバチバチに当たるんで(笑)、そういうワンピックなどでスリフティーが起こるのかなと。大会見ていてもシェリフマジやべえなって思うんで(笑)。
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ーースクリムなども含めて、日本リージョンとの違いをどのように受け止めていますか?
Laz選手 まず活動時間が違います。活動を11時くらいにスタートし、夕方にスクリムを終え、その後に話し合いの時間などが設けられるチームが多く、かなり健康的だなと思います。
また、日本ではスクリムを2マップ1セットで、2、3回やりますが、こちらでは1マップずつ時間を区切って行います。特定のマップの練習をしやすいですね。練習環境は本当にいいなと感じます。
試合では、丁寧に組み立てるチームがすごく多く、チームワーク、戦略で戦ってくる印象です。チームごとに戦い方が全然違い、それぞれに強みがある戦い方をしてきます。そういうチームがめちゃくちゃいっぱいあり、プレイヤースキルも高く、練習効率の差は段違いだと思いました。
ーー最後にファンへ一言メッセージをいただけますか?
Laz選手 みなさん応援ありがとうございます。これからLower Bracketへまわりますが、自分たちのできるだけのことをやって、実力を発揮していきたいと思っていますので、引き続き応援よろしくお願いします。
Dep選手 いつも応援してくれている皆さん、ありがとうございます。まだ終わったわけじゃなく、全然まだまだいけると思うので、これからも応援よろしくお願いします。
ーーありがとうございました。
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歴史的な勝利から間を空けずに行われたG2 Esports戦は残念な結果になったものの、Laz選手・Dep選手ともに「これから」という前向きなコメントを聞かせてくれました。ZETA DIVISIONは敗者復活トーナメントにまわり、4月17日午前2時からTeam Liquidと対戦予定です。新たな歴史の1ページを刻めるのか、ZETAの躍進に注目が集まります。