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2005年発売の『バイオハザード4』を現世代機の技術でリメイクした『バイオハザード RE:4』。豊かなアクション性や個性的な表現が魅力の『バイオ4』が再び世に出るということで、オリジナル版からのファンは強く期待していることでしょう。Game*Sparkは東京ゲームショウ2022を通して、同作のメディア向け体験会に参加。一足お先に『RE:4』の最序盤をプレイしました。
この体験会でプレイできたのは、オリジナル版の雰囲気と精細な作り込みを窺える“村”のマップ。懐かしさを感じさせつつもレベルデザインに現代的な変更が加えられた舞台で、敵ダウン時に実行できる体術やクイックターン、通貨や宝石集めといった“オリジナル版と同じ要素”も体験できました。
また、ナイフには耐久値が設定され、弾丸のクラフト要素も登場。グロテスク描写については、“ガナードの頭部が欠損する表現”を確認できました。シリーズファンにとって安心できるところは抑えつつ、基本操作は『RE:2』や『RE:3』準拠で非常にモダンなプレイフィール。原作からナイフ防御やしゃがみといったアクションが追加されています。
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本記事では同作の新規公開イメージを交えつつ、プロデューサーの平林良章氏にインタビューを実施。『RE:2』から続く現代的なリメイクアプローチ、そしてオリジナル版『バイオハザード4』ファンなら気になるポイントについて質問させていただきました。
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――リメイク元である『バイオハザード4』の特徴のひとつとして、肩越しの視点である「ビハインドカメラ」が挙げられます。『バイオハザード RE:4』では、どのような形でこのシステムを採用されているのでしょうか。やはり、現世代機向けの大幅なブラッシュアップも加えられているのですか。
平林良章氏(以下、平林)『RE:4』は原作の魅力を活かすことを大前提としながら、最新の技術で現代的に再構築しているタイトルです。『バイオハザード4』ならではの「ビハインドビュー」の体験も、今作では色濃く継承しています。ふたつ目の質問に関しては、もちろん現世代機のマシンパワーをふんだんに使ってビジュアル的な表現を高めています。ライティングやポストエフェクト、3Dモデルの精巧さにおいては、特に技術的な恩恵を受けていますね。
――アナウンスメントトレイラーの公開時、新たに描かれたキャラクターデザインがファンの間で話題となっていました。『RE:4』では、どのような意識でレオンやアシュリーのキャラクターモデルを制作されていますか。
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平林『RE:2』ではフォトスキャンという技術を使ってレオンを制作していて、今作でもその写実的な表現手法を受け継いでいます。実際に存在する人物をベースとした制作ですね。『RE:2』から数年が経ったリアルな雰囲気を皆さんにお届けできると思います。アシュリーに関しては、彼女のキュートな側面やレオンとのドラマにおいて原作を尊重しつつも、写実的に表現しています。まだ公開している情報が少ないところではありますが。
――『バイオハザード4』ではムービーパートでボタンを押す必要がある「QTE」を採用されていましたが、『RE:4』ではどのようにブラッシュアップされているのでしょうか。
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平林QTEというシステムは人によって理解の幅が違うので、ここでは丁寧に説明させていただきますね。例えば、プレイ中に出くわすであろう「いきなり敵に掴まれてしまい、すぐさまナイフを突き立てる」といったシーンを「これはQTEだ」と理解される方もいらっしゃいますし、「ムービーパートでボタンを押すイベントが発生し、上手く操作しないとゲームオーバーになってしまう」という状況でも同じく「QTE」と認識されることがあります。
――たしかに「緊急回避」のようなアクションと「ミスすると一発でゲームオーバーになるムービーパート」のどちらも、QTEと捉えられますね。
平林『RE:4』においては、後者のようなイベントは存在しません。しかし、ただ原作にあったものを失くそうとしているのではなく、可能な部分は“操作を止めずにゲームプレイを体験していただく”ということを考えた上で調整しています。そもそもそういった調整が施せないシーンは、QTEではない別の演出に置き換えています。そして前者のようなモノについてはナイフでの緊急回避などの要素はあるので、「QTEはあるのですか」と聞かれると「ほとんどない」、または「ムービーパートで突然発生するタイプのものは登場しない」と言えると思います。
――『バイオハザード4』は、じっくりと物語を体験していくサバイバルホラーらしさだけでなく、激しいアクション性も魅力です。『RE:4』ではアクション要素をどのような形で表現されているのでしょうか。
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平林アクション性に関しては、「緊張」と「カタルシス」を原作らしいサイクルで提供していけるよう努めています。原作を楽しんでいただいた思い出を、この『RE:4』でも感じていただきたいのです。張り詰めた空気の中で敵が現れて、ハラハラと焦りながら進みつつも、ヘッドショットに成功して敵を上手く倒していく……というような。
――なるほど。
平林ゆっくりじっくり攻略したい方や敵との戦闘を思う存分楽しみたい方など、プレイヤーそれぞれの取りたい戦略/アプローチで攻略していけるようなバランスを目指して調整しています。ハンドガンやショットガン、スナイパーライフルも扱えますし、もちろん武器商人も出てきます。
――原作で話題になっていた“小ネタ”は『RE:4』でも登場するのでしょうか。当時からのファンであれば、多くの方が気にされているポイントだと思います。今回の試遊で体験できたパートは非常にシリアスで、ヒリヒリするようなプレイばかりでしたが……。
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平林おそらく、試遊では「原作よりも怖いな」と感じていただけたと思います。不安感を煽るような演出が濃いですし、「あの頃のウィットに富んだレオンはどこに行ったんだろう……?」なんて感じたかもしれません。ああいった個性的な要素も、原作ファンにとっては重要なポイントだと思っております。今作ではサバイバルホラーらしさを重視していますが、レオンらしいシニカルな性格や“かわいらしさ”も大切にしています。『RE:2』のような“リアルさ”、そして原作である『バイオハザード4』の“個性的なところ”を丁寧にミックスしていますので……今は詳しく話せませんが、当時からのファンの方もご期待ください。
――“空耳”のことがずっと気がかりだったのですが、試遊した範囲でも聞き取ることができ、「今作でも健在なんだ」と安心しました。今作でも引き続き採用するに当たって、特別に意識したことはありますか。
平林試遊範囲で感じていただけたのですね!それは開発者としてもうれしいことです。
――すぐに分かりました!とても懐かしく、「帰ってきたな」という実感が湧きました。
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平林 原作に登場したガナード達のセリフは、もちろん今作のためにも録音しています。その上で、新たな技術の表現力もありますし、それ以外のセリフも様々な形で追加しています。これもビジュアル表現やアクション性と同じことですが、原作での体験を尊重しつつも現世代の表現手法を採用していますね。
――「ザ・マーセナリーズ」や「エイダ・ザ・スパイ」のようなアナザーストーリー系のコンテンツは収録されるのでしょうか。
平林今の段階ではお話できることがありません。これまでの回答と重複するところではありますが、『バイオハザード4』をリリース当時に遊んでいただいた思い出や体験を尊重しつつ、現世代らしいテイストを取り入れた作品としての開発を最重要視しています。
――アシュリーの衣装にも期待しています。原作ではいろいろなパターンがあり、とても印象的でした。
平林アシュリーだけでなくレオンもそうですけど、それぞれのキャラクター性を原作の表現から意識していますし、『RE:4』では精細な表現が可能になった技術で更なる魅力を引き出せるように努めています。
――甲冑や白いセットアップなどもありましたね。そういったユニークな衣装は、今作ではどうなるのでしょうか……?
平林これも今お話できることはないのですが、やはり一風変わった衣装は印象に強く残りますよね。“「遊び心」と「ゲームプレイのバリエーション」は原作である『バイオハザード4』が持つ良い部分だよね”という話は、開発スタッフの間でもよく交わしていました。
――最後に、『バイオハザード RE:4』を期待するファンに向けてメッセージをお願いします。
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平林原作を楽しんでいただいたファンの方はもちろん、『RE:4』で初めてこの世界観を体感する方にも楽しんでいただけるよう、開発チーム一同がんばっておりますので、ぜひ期待して待っていただければと思います。
――本日はありがとうございました。
最新の開発技術で当時からのファンを再び沸き立たせてくれるであろうリメイク作品『バイオハザード RE:4』は、2023年3月24日に発売予定。対象機種はPS4/PS5/Xbox Series X|S/PC(Steam)です。