フィンランド最大の日刊紙ヘルシンギン・サノマットは、世界で最も遊ばれているFPS『Counter-Strike: Global Offensive』内のユーザーマップ機能を用い、ロシア国内へ向けたウクライナ侵攻の情報を報道する隠しルームを作成していたことを明らかにしました。
ウクライナの被害だけでなくロシア側の推定死者数等も提示
世界報道自由デーに合わせて発表されたこの取り組みは、現在厳格な報道規制とSNS等へのアクセス制限が為されているというロシアに向けて、なんとか報道を行えないかという考えをきっかけに企画されたものです。インスタグラムやTwitter、Facebookといった主要なオンラインサービスが利用できない一方で、未だ禁止されていない『CS:GO』に目を付けた同紙は、ゲーム内のユーザーマップ機能でウクライナでの現状を報道する秘密の部屋を作成したといいます。
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年初より有名なマップデザイナー2人へ依頼して制作された本マップは、ロシアや東欧諸国に馴染み深いようスラブ風の都市を模して設計され、ロシアやウクライナでなじみ深い“永遠の火”と呼ばれるモニュメントが配置されるなどロシアからのアクセスを誘導する様々な手段が取られています。そして件の隠し部屋はそのモニュメントのすぐ近くの地下に通常では入れない場所として設置されていますが、ゲーム中に死亡して観戦モードとなることで不自然なその部屋に気づくことができるようになっています。
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隠し部屋ではウクライナでの民間人被害の状況や、その一例の詳細といったウクライナ側の情報の他、推定されるロシア人死者数といったロシア側の被害状況についても確認できます。マップデザイナーの二人も「現実に繋がる人道的目的を持ったマップ作製に関われたことを誇りに思う」とコメント。なお、二人の詳細についてはロシアからの反発を懸念して伏せられていますが、彼らがこのようなプロジェクトに参加するのは初めてだといいます。マップは5月2日より公開を開始しており、その効果はこれから拡散されていくものと同紙は語りました。
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報道の自由への挑戦が生む影響や如何に
国家による報道規制の影響と、報道の自由を維持する難しさへ挑戦した本取り組みは大変興味深く意義あるものに思えます。実際にマップが公開されその影響がどのような形で現れるのか今後の動向に注目です。本カスタムマップはSteamワークショップで配信中で、誰でもダウンロードが可能となっています。興味のある方は自分の目で確かめてみてはいかがでしょうか。