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5月13日-14日に幕張メッセで開催された、eスポーツやゲーム、音楽などのコンテンツが織り交ざったエンタテインメントゲーミング・フェス「DreamHack Japan 2023 Supported by GALLERIA」にて、実はValveの『Counter-Strike 2(カウンターストライク 2)』(以下、CS2)のプレイゾーンが設置されていました。
本稿では『CS2』を一足先にプレイしたインプレッションをお届けします。なお、後半では『CS2』のDreamHack Japan 2023展示を通じてどうしても気にかかってしまったeスポーツ記者の少なさについてつい語ってしまったので、本題とはズレますがそちらも良かったら読んでいってください。
最初にお伝えしておくと、筆者は『Counter-Strike: Global Offensive(CS:GO)』の表層をペロっと舐めたよわよわプレイヤーであり、ルールや仕様を知っている程度であることにご留意ください(そのほかのタクティカルシューターなどは嗜んでおります)。また、詳しくは後述しますが、今回の試遊はbot対戦とプラクティスのみ。ゆるふわプレイレポートだと思って読んでいただけると幸いです。
『CS2』は、『CS:GO』をベースに、Valveのゲームエンジン「Source 2」を用いて刷新したタクティカルシューターであり、2023年の夏にリリースが予定されています。しばらく存在が噂されていましたが、今年3月に正式発表。同時に招待者のみが参加できる限定のテストが配信されていました(現在サーバーはクローズ中)。ブース担当者によると、今回の試遊はそのテスト版を特別にオフライン(LAN環境)で遊べるようにしたものであり、基本的な内容は同じものであるとのこと。また、アジア初展示であるようでした。
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なお、この試遊はDreamHack Japan 2023のBYOC(※)ブースに設置されたものです。BYOCブースは入場券とは別の専用チケットを購入する必要があるためか、(筆者が参加したのが午前中だったとはいえ)参加者はあまりいなかったのが残念な点です。そのような事情もあり、今回は10人そろえての試合はできず、botと対戦する形での試遊でした。
(※BYOC...Bring Your Own Computerの略称。参加者がPCや周辺機器を持ち込んでゲームを遊びまくる空間を指す)
また、BYOCの性質上「デバイスは持ち込んでね」ということか、ヘッドホンやイヤホンなども設置されていませんでした(キーボードとマウスはあったので操作は可能だった)。スピーカーから出る音でFPSを遊ぶのは幼少期以来だったのでとても新鮮。
兎にも角にも“モダン”
さて、前置きが長くなりましたが、実際に遊んでみると、まずは“モダン”な印象を強く受けます。グラフィック品質の圧倒的な向上により、武器のモデリングやマップ全体、細かなオブジェクトのティテールは高精細に生まれ変わり、「最近のゲームと遜色ない」と言えるでしょう。今回収録されているマップ「Dust II」も、全体的に明るくなることで敵の視認性が向上しています。
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試合中のインターフェースも刷新。体力アーマーの値や残弾の数が画面の下に並べられたほか、生存しているプレイヤーのアイコンの並びもやや整えられています。とはいえ、そこまで大きな変化ではありません。元の『CS:GO』のタクティカルシューターとしての完成度が高かったことがよくわかります。
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画面下部のアイコンには、キル数に応じて数字が増えてバーが変化するという演出も用意されています。
また、スモークなどの流動的なエフェクトがSource 2エンジンの恩恵によって自然なものになりました。スモークや炎の広がり方が空間やオブジェクトに沿って動くようになり、より地形や仕組みを理解した使い方が求められるようになったのです。光の当たり方も反映されるので、グラフィックの一貫性も増しています。
スモークの仕様は銃撃や爆発(HEグレネード)によって霧散するようになったのも特徴のひとつです。実際に銃撃してみると、確かにその部分だけは消えます。スモーク抜きがよりしやすくなったほか、HEグレネードと組み合わせてスモークを任意のタイミングで消すなどの戦術も可能となりました。
「血痕」もその一つです。キャラクターが銃撃を受けた際、その背後に散る血痕の形がとても美しくなりました。処理の難しい血の散り方はゲームによっては素っ頓狂な方向にあったりしますが、『CS2』ではより自然になっているだけでなく、時間経過で鮮血から赤黒く乾いていく様も確認できました。これはずっと眺めていられるほど美しいので、是非正式リリースされた暁には堪能して欲しいものです。
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今回体験できていない範囲外では、サウンドの刷新やサブティック更新システムによってティックレートの影響を受けずに全てのプレイヤーが同じ時間に着弾や爆発をフィードバックされるなどが挙げられます。
総じて、やはりマップの刷新されたグラフィックが最も大きなポイントです。『CS:GO』を人に勧めようにも、古くさいグラフィックは一つの壁であったことは間違いないでしょう。硬派なタクティカルシューターとしてのスタイルや世界観はそのままに、よりモダンで美しく、とっつきやすい作品になった印象です。夏のリリースが待ち遠しくなる試遊でした。
なあ、eスポーツ(じゃなくてもいいけど)記者にならないか?
ここからは長い余談ですが、開催から1週間経った今でも、商業メディアにおいてこの記事以外にはまだ同会場での『CS2』に関連した記事は確認できていません(『CS:GO』の約3年ぶりのオフライン大会に持ってかれた感はあれど)。DreamHack Japan 2023のコンテンツ力はさておき(特定のコミュニティを深く理解している場合を除いて、DHJをどのように取材すれば良いのかわからなかったメディアも多いと思う)、アジア最速という点や、世界で最も遊ばれているFPSの新作であることを考えると、もうちょっと注目されても良かったと思っています......。
では『CS2』は失敗作なのか、と言われたら間違いなくNOでしょう。前述した通り世界で最も遊ばれているFPSの新作であり、触った限りでもよほどの問題が生じない限りは、一旦リリースされたなら『CS:GO』のユーザーベースも巻き込み、いまの『CS:GO』以上の賑わいになる可能性は非常に高いです。
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さらなる余談をすると、筆者はフリーランスとして複数のゲームメディアでお仕事をさせて頂いています。すると、ゲーミングデバイスの発表会や体験会、eスポーツ大会の取材など、同じような内容の依頼がいくつも別方面から届くのです。同じ発表会の取材依頼が3つ4つ届くこともザラにあります。
それ自体、個人的にとてもありがたいことですが、やはりeスポーツ関連の記者が少ないのでしょうか。実際そういう声を複数のメディアの編集さんから良く聞くし、弊誌に載っている『VALORANT』関連のインタビューの9割5分は僕が書いたものです。
何が言いたかったかといえば、『CS2』の血痕表現が素晴らしいことは一旦置いておいて、「みんなeスポーツ記者に興味はないか?」ということです。
確かに、eスポーツ記者はコスパの悪い仕事です。『VALORANT』のインタビューを例にすると、Bo3(2マップ先取の最大3マップ)では、最大およそ3時間の試合をしっかりと見続け、対象者の背景を理解したうえでインタビューをし、それを書き起こして形にします。もちろんゲームの理解度も求められるでしょう。今回のように、現地に長時間の取材に行くことも少なくありません。筆者は今でこそ納得できる報酬を頂いていますが、最初は目を疑うほどの報酬でした(実績のあまりない、誤解が無いよう言い換えると「きちんと随時連絡が取れるか、原稿を期日までに仕上げられるか、いずれもわからない人間に書かせる」リスクを考慮すると仕方のないことではある)。
それでも筆者がここまで続けている理由は、『VALORANT』が好きで、人生の短くない時間を賭けて戦っている選手らを尊敬し、彼らの考えていることや思いをコミュニティと後世に残したいと思っているからです。
もし同じような情熱を持ち、少しでも興味があるのなら。今回『CS2』のアジアデビューがGame*Spark以外の媒体でほとんど取り上げられなかったことに憤りを感じたのなら。
いつも読んでいるサイトのライター募集から、自分の書いたnoteやブログなどを添付して声をかけてみてください。書いたことがなければ、ひとつテーマを決めて書いてみてください(なにから手をつけていいかわかなかったら僕のTwitterにDMでもください)。「eスポーツを仕事にする」と聞くと大がかりなものを想像するかもしれませんが、小さな挑戦から物事は始まるのです。弊誌を含め各媒体ごとにその時々の都合もあるので必ず返事が返ってくるわけではありませんがくじけずに。願わくば、『CS2』クラスのゲームならもう少しだけでも注目されるように。