世界の様々なゲーム開発ミドルウェアを国内向けに提供するIGMは、秋葉原UDXにて最新ミドルウェアセミナーを開催。同社が提供するミドルウェアのうち、Emergent社の「Gamebryo Lightspeed」、Umbra Software社の「Unbra」、Scaleform社の「Scaleform GFx」を紹介しました。ここではまだ日本では紹介される機会の少なかった、Umbra Software社の「Umbra」を紹介します。Umbra Softwareは、2005年に設立されたフィンランドはヘルシンキに拠点を置くミドルウェアベンダーで、容易にゲームエンジンに組み込み可能なレンダリング最適化ソリューションを提供します。1997年からハイパーグラフィックス社で開発されてきた同様のエンジンが基礎になっていて、第一世代の「dPVS」、第二世代の「Umbra」そして最新の第三世代の「Umbra Occlusion Booster」という風に進化を続けています。特に最新版ではPS3/Xbox360という家庭用ゲーム機に最適化され、マルチスレッドのサポートも追加されました。「Umbra Occlusion Booster」では導入するだけで特段の手間なく、レンダリングのパフォーマンスを向上することができます(最大では600%程度まで引き上げる事ができるとのこと)。その基本的な手法は、プレイヤーのカメラから見えるオブジェクトなのか否かをピクセル単位で判別し(それぞれのヒエラルキーを判定)、可視性のあるオブジェクトのみを描画するというものです。実現するに当たって特別な前処理は必要なく、リアルタイムでこれを実現します。そのため、動きのあるオブジェクトやパーティクル等にも対応可能です。実際に会場ではデモが行われ、本製品を使わない場合は80fps程度しか出ない場面でも、オンにすることで300fpsが出せる程度にまでレンダリング処理を軽減できていました。通常のゲーム開発では、遠くにあるオブジェクトの処理を省くために、途中に扉を挟むなど、レベルデザインでレンダリング負荷を軽減することが多くありますが、本製品を利用すればそのような手間を省けます。レンダリング負荷が軽減できても、本製品の負荷が高ければ意味がないわけですが、CTOのTeppo Soininen氏によれば、ベースのライブラリが200kbyte、各オブジェクトに270byte消費するので、例えば1万オブジェクトある場面では1MB程度のメモリ消費で処理が出来るそうです。また、Unreal Engine、Gamebryo、Hero Engine、Big Worldなど主要なサードパーティ製ゲームエンジンへのインテグレーションに対応していて、即座に利用可能になるほか、各社が自社で用意しているような社内エンジンにも3〜5日程度で組み込めるものになっているそうです。日本ではまだ馴染みの薄いミドルウェアですが、Xbox360『Alan Wake』(マイクロソフト)、Xbox360『Mass Effect 2』(マイクロソフト)、PS3/Xbox360『Dragon Age Origins』(EA)など著名タイトルにも採用実績があり、これまでの出荷本数は2000万本を超えているとのこと。IGMでは無料体験版も用意しているとのことですので、お問い合わせください。
『Cities: Skylines II』パフォーマンス問題はレンダリングが原因か―最低30FPSを目標に改善パッチが配信予定 2023.10.26 Thu アップスケーリング技術の取り入れも検討中とのことです。
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