現在、大物プレイヤーがこぞってソーシャルアプリに参入してきている。「え。ここも参入するの?」なんて暢気なことを言ってられない状況だ。誰もが口を揃えて「勝負は半年以内」という。彼らには年末なんて言葉はない。
フェイスブックで流行ったものが、しっかりとミクシィでも流行っている。その中で注目なのは、「モバイルソーシャルアプリこそ、我々が主導権を」という動きだ。
3年ぶりにモバゲー、グリーをじっくりやったという仲間もいたし、コロプラ、みんクエ、クニトリもまた研究対象としてリスペクトされて来ている。
しかし、中国人も手強い。中国のad:tech(広告をテーマにしたカンファレンス。先日東京でも開催)では、「つりスタ」の画面遷移が公開され、じっくりと研究されているのだ。
グリー、モバゲーといえば、「まずは無料で遊ばせて中毒にしてから、お金をとる。ポイントアフィリエイトなどの手法もまぜてマネタイズする」といった手法。
外人にとってはなんだかよくわからないはずなのが、きちんとメソッド化されているのである。
私たちもオチオチしてられない。とにかく今は彼らから、いろいろなエッセンスを学ばなければならない。
そう確信している中、ドイツで面白い事例が出て来た。まるで真逆なアプローチなのだ。
1ヶ月前に、「GEDDA HEADZ」というサービスが開始された。対応端末はiPhoneやノキアの上位機種。しかし、ドイツのみサービス開始している。
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Gedda−Headz缶詰の外観。値段は三体入って20ユーロ。
というのも、キャラクター缶詰がドイツでしか売られていないのだ。キャラクター人形のキーホルダーを買わないとこのゲームに参加できないのである。キャラについているシリアル番号を入力してはじめて自分のキャラになるわけだ。
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缶詰の中身。実物のアバターとシリアルナンバーが刻印されたプレート
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ネット上のアバターと同じデザインのリアルアバターの種類は36体
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リアルアバターを集める専用のコレクションボックスもある。
■Gedda-Headz開発の逸話。
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息子がポケモンカードを買いすぎてどうにかならんもんか、と。これを作った。キャラをある程度持っていれば、一生遊べるようにという狙いだ。
ゲームの進行中でアイテム課金とかは一切ない。キャラは36名だけ。コレクター魂に火がついても上限がある。
オンラインで決済しないから、親にも安心というわけ。
■用意されたミニゲームは3分勝負。
今のところブルートゥース対戦は6ゲーム(オンライン対戦はそのうち3ゲーム)。
落ちゲー、おはじき、レース、神経衰弱、荷物落とし、単純そうにみえて、対戦だからハマるゲーム。意外と3分って長いなというのが正直な感想だ。
ミニゲームの数はどんどん増えていくという。
このアプリを立ち上げたら、とにかくリアルの誰かとゲーム対戦をするしかない。そうすればリスペクトポイント(RP)がたまる。
ひとつのキャラはずっとゲームをしていると、疲れて弱くなる。元々の能力は「Swift」「Clever」「Tough」というよくわからないパラメータが設定されて、おそらくそれに「Level」という経験値みたいなものと、疲れ具合が、対戦ゲームの中での有利不利がでるらしいのだ。
キャラはいくらでも持つことができ、ひとりだけアクティベートして使う。残りはその間、休養してエネルギーを復活させるといった使い方。
キャラを「Free」にして、他人にあげることもできる。そうするとリスペクトポイントがあがる。友達(Hood)を増やしても(Make a Friend)、リスペクトポイントがたまる。
Hood(友達)同士は、実際の地図上でドラゴンレーダのように、友達がどこに居るか知ることができ、チャットをやったりオンラインでゲーム対戦をふっかけたりできる。
このゲーム、なんといっても面白いのは、その場の友人と一緒にゲームセンターにいったような感覚になることだ。
ゲダヘッズ缶詰が日本に届いたという知らせを聞き、受け取りに行って、みんなで、さっそくゲームをやったとき、パンカクの柳澤さんが言っていたパンカクネット構想を連想した。
「トランプは2人じゃ楽しめないし、持ち歩かない。だから、その場で楽しむゲーセンのようなのがiPhoneでできたらいい。」
その感じって、こんな感じなんだろう。小生はそう思った。
ダーツバーや、アイリッシュパブなんかで、ゲダヘッズ缶(3キャラで20ユーロ)が売っていたら、大人でも、やばいことになる。
ゲームに白熱するとキャラはどんどん疲れるので、ついつい新しいキャラを買ってしまうだろう。
■さて、ビジネスについてよーく考えてみる。
このモデルは実物のキャラを売るだけのマネタイズだ。基本的にみんなが何体か買ってしまって、飽和数が流通してしまったら、終わりである。
ユーロの加盟国が増えなかったらユーロ価値の上昇が終わりのように。飽きた友達から貰って再利用できてしまう。
だから、なかなか実現しないビジネスモデルだった。
結論から言うと、今回、私が目から鱗だったのは、リスペクトポイントをリアルショップでの割引還元というリアル連動を目論んでいるところだ。
ドイツでは、すでにPUMAショップが、リスペクトポイントを買い取ることに名乗り上げている。
モバゲーは、コンテンツプロバイダーの販促予算を「モバG化」しているのに対し、このゲダヘッズは、RPをリアルショップの「販促予算化」をしているのだ。
インターネットを駆使しながらも、「キャラ売上をリアル流通プレイヤーに落とし、リアルショップの販促予算をいただく」
という、リアルで完結のビジネスであるところが、次世代的なのだ。
「リアルソーシャル」といえば良いのだろうか、それって今の現実社会じゃん!ってことになるが、おかしな話、このゲームは「リアルソーシャル」なのである。
このゲダヘッズ。まだまだ発展途上で、いずれは「アルケンシティ」という街が出てくる。
そこがまさに企業販促の土地。セカンドライフとは違い「実際の店舗誘導」を促す世界。
キャラは6つのチーマー軍団で6キャラずつ。いまのところキャラを揃えるとゲームの世界進行にどうなるのが未知数だが、いろいろな布石を打っているかのように見える。
ゲダヘッズ陣営は早くも日本展開に興味津々だという。
ブルートゥースでは、リアルの仲間と、そして、オンラインでは世界中の人と触れ合って欲しいと言う。
大川功の言葉を思い出した。
「世界中の子供たちが同じゲームでつながったら世界は平和になるだろう」
小生もこのプロジェクトの行く末、特に「理想と現実」に注目して行きたい。
■最後に、いままでのモバイルオンラインゲームと異質なポイントだけまとめる。
1.実際にリアル商品を買わないと、ゲームに参加できない。
2.お金を払ったひとだけが、ゲームに参加できる。
3.アイテム課金など、進行中でのオンライン決済がない。
4.リアルの人が介在してはじめてゲームが進行する。
5.親の「財布」が安心な設計がなされている。
6.リアル購買での販促費をもらうモデルである。
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■著者紹介
株式会社イーグル代表取締役 RainbowAppスクール主催 藤永真至