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ビジュアル表現とゲームプレイで新たな世界を切り開き、国内のみならず海外でも高い評価を受けた |
この発売されたばかりの作品について、主にビジュアル面からアートディレクターを務めたSCEジャパンスタジオの山口由晃氏が「Bringing the Visuals of Gravity Rush to PlayStation Vita」(米国でのタイトルがGravity Rush)と題した講演を行いました。
『GRAVITY DAZE』はオープンワールドの世界を舞台に、重力を重力を操作しながら遊ぶアクション。物理攻撃だけでなく、重力方向を利用してアクションの幅を広げています。山口氏は「当初は独自すぎる内容にマーケティングからは懸念もあったが、高い評価を受けることができました」と説明。「ユーザーは常に新しいものを求め、それを受け入れる感性を持っているのです」
ゲームシステムも独特ならビジュアルも独特なのが本作。「バンドデシネ」と呼ばれるフランスの漫画のような雰囲気と、日本のアニメーションを融合させたものです。「最近のゲームのグラフィック表現には類似性を強く感じていました。新しい価値を提供する必要がありました」とは山口氏の弁。
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バンドデシネとアニメーションの融合 |
リアルとアニメの中間といえば、セルシェイディングが一般的に利用されます。しかし、山口氏らはバンドデシネとアニメという両方とも非現実世界の表現方法を重ねることで別のリアルさが表現できることに気づきます。「綺麗なビジュアルでリアルに再現することよりも、状態を誇張することで感覚的なリアルを実現できたんです。これはインタラクティブなゲームとは相性が良いのではないかと考えました」
ハード性能の進化によって、ゲームはクリエイターが望めばどのような表現も可能になりました。しかし『GRAVITY DAZE』ではあえて優先順位を付け、全体の調和が重視されました。絵画的なビジュアル、オープンワールドという物量や圧倒感、そしてアートワーク、それぞれがバラバラではなく、その全てが上手く合致してこそ満足できるものになるということです。
キャラクターコンセプトは普遍的なキャラクター性が目指されました。外山圭一郎ディレクターとアートチームの協業で生まれた主人公は、忍者で強い女性。様々な試作が行われましたが、最終的には画面左端のキャラクターが採用されています。国籍を感じさせないデザインになりました。
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完成した主人公イラストと案。一番左が完成形 |
生き生きとした背景も注力した部分だということです。「ユーザーは背景を単なる絵と感じると認識から外してしまいます。なので情報を与えながらその場に居る感覚を持たせなければなりません」と山口氏は言います。そして、背景と感覚的リアルを融合させれば更に大きな効果を与えられますが、この為には背景に関してもゲームデザイナーとの密な連携が必要だったということです。オープンワールドという形も山口氏が初期から提案していたものだそうです。
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Living Backgroundもユーザーの没入感を高める仕掛け |
最後に山口氏はチームに感謝し、「お互いに引くこと無く議論が出来たチームや自由に開発をする環境を与えてくれた会社に感謝したい」と述べました。